六 教育を受けることを継続させ、その後組織に縛り付ける方法
1 受講料を取る
コミットメント・一貫性のルールの適用であるし、お金を貸すのは断る口実を突き崩すためと返報性のルールの適用である。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 四一頁〜四二頁
お金を払わせるということはどんな意味がありますか。
自分自身の体験から言えば、お金を払ったんだから続けようとか、代償を払ってるわけだから今後通っていくことを。
通っていくことを心理的に強制するものにつながると。
そうですね。
甲第二四一号証 原告証人b陳述書 二〇頁
お金(前金)を三〇〇〇円以上入れてもらいます。三〇〇〇円入れるとやる気になるようです。五〇〇円や一〇〇〇円では投げてしまうといいます。何分割にも分けて払おうとする人はよほどでないかぎり、あまりやる気がなく、長続きしないといわれており、ここの入金は重要なポイントです。
被告証人K 証人調書 七一頁
二〇〇〇円貸してあげましたね。お金がない人のときには必ずそうしているんですか。
そうですね・・・うん、この人は必ず来てくれる人だと思いましたから。
2 動機付け
(一) 受講決定の段階
これもコミットメント・一貫性のルールの適用である。人は自分が選択したと思ったことには責任を持とうとする。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 四〇頁〜四一頁
この受講申込書を書かせながらどんなことを新規トーカーはすることになりますか。
そのゲストがどういうことを学びたくて受講を決めたかという、本人に動機の確認をします。
そのときに使う言葉遣いで言ってもらうとどういうことになりますか。
あなたはここでどういうことを学んでいきたいと思いますかという感じで。
そうするとどんな答えが出てきますか。
そのコース決定の受講カードを書く時点で、もう勧められて勧められて仕方なくというタイプの人も中にはいると思うんです。その時点で、本人の口から自分はこういうことを勉強したいから受講しますと言わせることは後々重要なことなんです。
どんなふうに重要なんですか。
自分が決めたんだということをしっかりと本人に認識させるために、本人の口から言わせます。
説得されて選んだ道ではないんだと、自分が選択した道なんだというふうに認識を転換させるんですか。
そうです。
(二) 二ディズへの動機付け
暗示をかけて二ディズに向かう積極的な姿勢を作っている。このことも講義を信じさせるには大切なことである。動機をただすことによって、獲得したい目標を持たせるとともに、自主的に参加したと思わせるようになっている。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 八二頁〜八三頁
そのときに限らず、ビデオセンターの中で、どんな程度に感動するとか、人にもよるんだというようなことを言われませんでしたか。
涙を流して感動する人もいて、ハンカチでは足りないからタオルを用意していったほうがいいとか、それぐらい感動的ですごいことが聞けるという感じで。
動機を正されるということはありませんでしたか。
ありました。
どんなことを聞かれたんですか。
アンケートを取られたと思うんですけれども、ツーディズに参加して何を見つけたいと思いますかとか、どういう目的を持ってツーデイズに参加するかというのを改めて確認させられたということがありました。
平成九年一一月二八日付 原告証人a証人調書 五四頁〜五六頁
乙ハ第四一号証を示す
三番と四番を見てください。特に四番ですが、これはツーデイズへ参加する際のあなたの希望とか目的ですね。
はい。
どんな内容になってますか。
「人を愛せる心、為に生きるということを得たいと思っている。」と。
この段階では、だれのためとか何のためということははっきりしてるんですか。
いや、それははっきりはしていないです。
あなたはどんなことを言われて、あるいはどんなビデオを見せられて、ために生きなければいけない、ために生きることを得たいというふうに思うようになったんですか。
創造原理のビデオだとか、あと復帰原理だとかを見て思いましたし、主任さんもよくそういうことを口にしてたので。
主任さんもよく口にしてた。
はい。
ために生きることが大事だというようなことですか。
はい。
ために生きる人の例として、例えばだれか、今生きているあるいはごく最近まで生きていた人の例なんかを示されませんでしたか。
よく出てきたのは、マザーテレサ、シュバイツァーとか。
だれもが否定しようのない人ですね。
はい。
あのような人のように生きれればいいなと、それは確かに思いますよね。
はい。
あなたはビデオセンターを受講するときの目的と、ツーディズに参加するときの目的が微妙に変えられていることに気が付きませんか。
ええ、変わっています。
あなたはそのことを自覚していましたか。そう変えられたんだということは。
いや、自覚は全くなかったです。
(三) ライフトレへの動機付け
ライフトレーニングは毎日夜遅くまでの講義が長期の場合約一ヶ月続くので、参加できない障害が生まれやすい。しかし、一つ一つの講義は受講生の価値観を変化させるために意味と役割を持って組まれているため全部を聞かせたい。そのために暗示をかけるのである。
平成九年三月一四日付 原告証人a証人調書 三一頁〜三二頁
三つ目にはどんな注意を与えるんですか。
ライフトレーニングが始まったりすると、例えば、今まで仕事が余り忙しくなかったのが急に忙しくなって、残業が多くなったりとか、余り付き合いがなかった友達から誘われることが多くなったりすることがあると。
それは何のためにですか。
ライフトレーニングにきちんと毎日通えるように、そういう障害が起きたとしても、それはサタンの試練だからという感覚でとらえて、より神側につながっていく、ライフトレーニングに通うようにという意図があります。
乙ハ第四五号証 原告証人a ライフトレ参加のアンケート
ツーデイズに参加して良かった。
ライフトレではビデオやツーデイズで学んだことを、より深めて自分の生活との接点を見つけていきたい。また「為に生きる」とは実際にどんなことか学んでいきたいと思っている。
平成九年一一月二八日付 原告証人a証人調書 五六頁〜五七頁
乙ハ第四五号証を示す
この(3)を見てください。ここにライフトレーニングに参加する目的が記載されてますね。
はい。
何となっていますか。
「ビデオや二daysで学んだことを、より深めて、自分の生活との接点を見つけていきたい。また『為に生きる』とは、実際にどんなことか学んでいきたいと思っている。」と。
ために生きるということが具体的にどうなのかということを学びたいというのが目標になってるわけですね。
はい。
(四) 動機の変化
平成九年一一月二八日付 原告証人a証人調書 五七頁〜五九頁
乙ハ第四六号証を示す
これはライフトレーニングのときのあなたの日記ですね。
はい。
六月一六日の欄ですが、そこに「奉仕会員よりは実践会員、実践会員よりは専従会員になることが良い、またなりたい」と。
はい。
奉仕会員なり専従会員というのは、統一協会の会員ということですね。
そうです。
この話のときには、統一協会が明かされているわけですね。
はい。
統一協会の中で専従会員、献身する会員になっていきたいというふうにあなたは思うようになってるわけですね。
はい。
どうして思うようになっていったのでしょうか。
やはり原理がだんだんと浸透してきたというのと、献身というのは、非常に多くのギャップを感じますけど、主任さんとか班長、霊の親が実際に献身していったんだという話を聞いて、ああそれだったら自分も頑張っていきたいと、やっぱり思うようになりました。
あなたの人生の目的が大きく変えられたことが分かりますか。
はい。
この段階で、専従会員というのは具体的に何をするかというのは、あなたは知らされてますか。
いいえ、献身するということしか具体的には聞いてはいません。
平成九年一一月二八日付 原告証人a証人調書 六〇頁〜六一頁
それから六月一六日の欄ですが、専従会員になるということは、ために生きることになるんでしょうか、ならないんでしょうか。
ために生きることになります。
これは、何のために生きることになるんですか。
神様、メシアのために。
具体的には、どんな組織のために。
統一協会のために。
ために生きることが正しいとされていたあなたの認識に、何のために生きるのかというその認識が加えられたということですね。
はい。
乙ハ第四七号証 原告証人a ライフトレ終了時のアンケート
何か心配なこと、聞きたいことがあったら書いて下さい。
人生の大きな岐路になるので、このみ言を一〇〇%本当に信じてよいかということがまだ少しだけどやっぱり少し心配だ。
ライフトレーニングの終了時、新生の手順を聞いて献身の方向を提起され、原告証人aは心配している。当然の心配である。ところが、その直後に書かれた次のアンケートではその心配を克服するようなことを学びたいという決意が四ディズに臨む目標として表明されている。
心配する心がアンケートを書くことによって転換されているである。
乙ハ第四八号証 原告証人a フォーデイズ参加時のアンケート
一 参加動機の確認
神様の愛、願い、心情を、また真の御父母様の乗り越えてきた道などを心で感じ、また、自分の現在置かれている立場をよく見つめ、み言を一〇〇%本当に信じ、これから不信しないようにするため。罪なども自覚したいから。人生において大きな分かれ道にしたいから。
二 求めているものが得られたらどうして行こうと思いますか。
求めているものが得られたら本当に得られたら献身してもいいと思う。
三 み言を知って自分のどこが変わったと思いますか。
本当に身近に感じるようになってきた。心情も変わりつつあると思う。
平成八年七月五日付 原告A証人調書 一二〇頁〜一二一頁
「献身の動機のチェック」と書いてありますが、献身をする際にはどんな動機にまで高まっていることが要求されているんですか。
これは個人差があることなので、より公的なこと、世界的な、地上天国を作るだとか、世界を救うんだというふうに、より大きな目的に成長させる目的があります。
なぜそういうふうに、個人的な問題ではなくて、高いレベルの世のため人のためというような動機に変えさせるんですか。
実際に献身して生活していくというのは普通では考えられないような過酷な生活なので、自分レベルの決意だけでは持続しないと思うんですよね。だからもっともっと高い目標を持たせた上で頑張らせるというふうに考えられるので、そう思います。
3 好意
自分が好意を持っている知人から何か頼まれるとほとんどの場合その依頼を承諾する。人は好意を持っている人の指示に従うのである。そしてより重要なことは人を操作して好意を持たせることができるということである。
人は自分に似ている人を好む。この事実は意見やパーソナリティー、経歴、ライフスタイルなど、どのような領域の類似性においてもあてはまるようである。したがって、私たちから好意を獲得し自分にしたがわせようとする人は、似ていることをさまざまな方法で示すことによってその目的を達成することができる。
人はお世辞を好む。私たちを操作しようとする意図が明白な場合にはだまされないという多少の制限はつくが、一般的にいって私たちには他者からの称賛を信じ、それを与えてくれる人を好む傾向がある。
協同行動によって好意が生まれる。
魅力的なモデルの特性→美しさと好ましさ→が商品に結びつくからこそ、美人モデルがコマーシャルに登場するのである。
ランチョン・テクニックとは食事中に関わりのあった人や物をより好きになることを利用したテクニックである。
(一) 好意を持たせる方法
ビデオ・センターへの勧誘の際やビデオを見た後の「和動」=話し合いの際にまず徹底的に話を聞いてくれる。受け止めてくる。愛してくれるのである。多くの人は話を聞いて貰うことに飢えている。否定しないで、遮らないで話を聞いてくれる人に出会うことによって、受け止められているという実感を持ち、相手方=主任などに対して好意を持つ。
そして「賛美」する。適切なお世辞を言うのである。それがその人の永遠の命を救う道であると意義を与えられ、「賛美」のやり方の教育を受けたスタッフがお世辞をいう。また、ビデオセンターでは主任と霊の親が、主任がこのように評価していたよと霊の親がいい、霊の親はこのように言っていたよと主任が賛美する。第三者から伝えられるので、警戒感を持たないことになり、賛美の有効性が増す。
統一協会はビデオ受講三回目までにその人の人生史(個人路程という)を把握することにしている。その人の生い立ちを掌握してその後の働きかけを有効なものにすることや、生い立ちを話させることによって急速に親密な関係を作りあげるためである。受講生に生い立ちを話させるために同じような問題を抱えていたという主任が自らの人生を語る。人は自分に似た人に好意を持つ。こんなにしっかりした人も私と同じ悩みを抱いていたんだという思いが相手方に対する好意となり、主任の自己開示に対する返報として滅多に他人に語ることのない自分の人生・秘密を統一協会に語ることになる。
二デイズには班長との面接がある。権威に偽装している講師は直接受講生と会わない。第一日目の夜の面接で班長が受講生に対して、講師からの言葉としてその受講生に対する「賛美」の言葉を伝える。たとえば「貴方が本当に真剣に聞いていたので、ついつい力を込めて話してしまいました」と講師が言っていましたよと伝えるのである。この言葉に受講生は感激する。
班長は受講生全員に対してこの「賛美」をするのであるが、受講生相互の交流が遮断されているので、受講生は相互に自分にだけ講師の「賛美」が行われたものと誤解させられるのである。
ライフトレーニングでは好意を持たせるために夕食を提供する(有料である)。一人暮らしの若者にとっては同じくらいの年齢の人達との語らいながらの食事は、なによりも楽しいものである。歌を歌ったり、ゲームをしたり、ピクニックをしたりという協同行動が相互に、そして主任に対する好意を作りあげる。四デイズ以降には好意を意図的に作り出すためのテクニックは使われていないようである。統一原理がその人の頭に浸透していくにつれ厳しく対応しても統一協会を離れる恐れはなくなるし、統一協会が必要とする早さで統一協会的人格を成長させるためには、ほめることよりも詰めることが大事になってくるからであある。
(1) 笑顔・賛美・認める
甲第二四〇号証 原告証人a陳述書 三頁
二、ビデオセンターの特徴
一 情をひらく
理解できるようになるまでこちらの話を聞き続けさせなければなりません。そのために主任との信頼関係を作っていくことが大事なのだと言われていました。
甲第二四〇号証 原告証人a陳述書 四頁
信頼関係を作るためには、笑顔で接し、相手を賛美し、相手の言うことを否定しないで受け入れていくことが大事だと教えられました。できるだけ早い時期にその人の個人路程、人生観を聞き出します。
二デイズ前に一度は下宿やアパートを訪問して、日常生活に踏み込んだ話を聞くようにしていました。
平成九年三月一四日付 原告証人a証人調書 七頁〜九頁
陳述書の三ぺージ以降に書かれている、ビデオセンターのことについて聞いていきます。ビデオセンターの側が、ゲストとの関係で最初に気を遣うことはどんなことでしょうか。
初対面ということがあるので、何でも話せるような、そういう心情関係を築くということが、まず第一に言われていることです。
何でも話せるような関係を作るために、どういうことをしますか。
特に最初はそうですが、笑顔で接するようにし、あとは本人を褒める、賛美を行うようにします。そして本人が話したいことを基本的には話させてあげて、こちら側は聞いて、否定しないということを行います。
平成九年五月二三日付 原告証人b証人調書 三〇頁〜三一頁
チャイムを押しました。それからどうしますか。
玄関を開けてくれたら、その人のいいところを賛美します。
玄関を開けてくれて、顔を見たら、例えばどんなふうに賛美するんですか。
例えば、とても目がきれいな方ですねとか、すごく優しそうな方ですねとか、あとは、玄関を褒めたり、すごくきれいに片付けてますねとか、すてきな絵が飾ってありますねとか、そういったことを賛美します。
それは必ずやるんですか。
必ずやります。
何の目的でそんなことをするんですか。
そうやって喜ばせて、情を開かせるためにします。
あなた方に対する警戒心を解いて、気持ちをつなげるようにします。
はい、そうです。
甲第二四九号証を示す
一一七ページを見てください。真ん中辺りにアプローチとあって、「第一印象」「讃美」「約一〇分」と書いてあるが、一〇分間もやるんですか。
世間話も入れてだと思うんですが、なるべくたくさんします。
甲第三八八号証 原告T受講ノート二 二五頁
八月二二日 大西先生とのお話し
自分を認めてもらえる事(ほめてもらえる事)がどんなに本当にうれしいかがわかる。
(2) 個人路程
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 四六頁〜四七頁
(甲第六八号証)
Nの横に「S一、S四」という項目がありますが、再来第四回目ということですね。その下に「人的把握」「個人路程」と書いてますね。これはどんなことを意味するんでしょうか。
来館した際に、主任なり霊の親なりで個人の今まで生きてきた人生経路みたいなものを話を聞いて、その人がどういう生き方をしてきたとかそういうことを把握するために重要とされてる期間なんです。
S一からS四まではそういったことを把握するために重要な期間だと。
ええ。
S四までいった人とS四までいかなかった人というのは、結果が違うんですか。
確率的にS四まできた人のほうがツーデイズ参加率が高いと。そこの期間まで詰めてなるべく短期間に来たほうがいいというか、時間を空けないで続けて来館させるというのが基本というか、そういうふうにスケジュールを組んでいくようにスタッフは指示されています。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 四七頁〜四八頁
(甲第八三号証)
「S一、S四」と書いてる下のほうに、「信頼基盤を作る」「人生観・価値観・財把握」「家庭問題、国際情報の話(根性、貞操観念)」と書いてますが、この信頼基盤を作るということはどういうことですか。
その期間にいかに仲良くなるかというか、お互いにいろんなことを話し合える関係を作るかという感じなんですけど。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 五六頁〜五七頁
どうして話をしてしまうことになったんでしょうか。
ビデオ受講していく中で、いろいろと本質的な話とか出てきて、いろいろ自分の人生を振り返ったりする内容のことが繰り返されていくと。そして、今までそういう話は友達との間でもしなかったけれども、そういう環境が設定されるということにおいて、自分自身も今まで言えなかったことを、主任さんなりを信用して話してしまったと。主任さん自身もいろいろ自分のことを話してくれたりするんで、私も話をするようになっていました。
差し支えなければ、あなたが抱えていた問題というのはどんなものなのか話していただけますか。
親子関係が余り良くなくて、家庭に対する不満というのを結構持っていたんですけれども、自分の将来のことについても、親に相談するということができなかったんですね。それで、どちらかといえば親の束縛からは早く離れたかっただとか、ほかの家庭を見たときに、こういう家庭だったらいいのになという理想があったりとか、それとは違う自分の家の状況、あとは父親のお酒を飲んでぐちゃぐちゃ言う姿とかがすごく嫌で、特に父親に対しての嫌だという思いなどがすごくあったんですけど、それを常に考えていたのではなくて、ビデオセンターで受講していて、内容を学んでいくに従って引き出されていったという感じですね。
引き出されていったばかりではなくて、例えば、親子関係に問題があるという話をし始めたら、主任さんはどんな対応をとったんですか。
同調してくれるというか、すごく受け止めて聞いてくれるんですよね。
乙ハ第一六五号証 原告S 「ゲストカード」 二月一五日
「序論・価値ある人生について」所感
本人一八才の時高校時代から付き合っていた彼が急死します。こんなに幸せでいいかと思っていた頃だったし、結婚まで考えていた人だっただけに、自分が同じまま息を吸ってくらしていることに腹立たしさを感じたとのこと。人生観が変えられる事件だった。
(3) ランチョン・テクニック
平成八年七月五日付 原告A証人調書 四五頁〜四六頁
一人で食べる食事と二〇人の仲間で食べる食事とでは、どっちがおいしかったですか。
みんなとわいわいと食べることがとても魅力的でした。
講義が終わった後、班長さんといろいろ話したり、ゲームをしたりということがあるんですね。
はい。
これはどうでしたか。
札幌に出てきて、専門学校に行き始めてまだ友達もできる前だったので、とてもそこの人間関係に対して依存してしまったというふうに思います。
(4) ゲーム
被告証人O 証人調書 二三頁
こういったゲームをやる理由は何ですか。
これは、お互いに仲間意識っていうんでしょうか、仲良くなるためのものとしてやりましたし、また緊張感をほぐすということもありまして、最初に行いました。
(5) スタッフは誉めあう
甲第二四〇号証 原告証人a陳述書 九頁
主任と霊の親との間では相互にお互いを褒めあいます。
4 返報性
他人がこちらに何等かの恩恵を施したら似たような形でそのお返しをしなくてはならないというルールである。こうした恩義の感覚を伴う返報性のルールは人間社会の文化に広く浸透している。承諾誘導の技術のなかでもっとも強力な威力がある。
困ったことに、頼みもしないのに勝手に親切を施すことによって私たちの心の中に恩義の感情を生み出すことができる。人には好意を受け取る「義務」がある。であるから、私たちは恩義を感ずる相手を必ずしも自分で選ぶことができないし、返報性のルールの力を他者の手に委ねることになるのである。
(一) 霊の親の役割
(1) 一方的に親切を与える
甲第一五五号証 実践トレ受講ノート 一九頁
アフターケアについて
目で多く見てあげ、口で多く語ってあげ、心情で大いに心配してあげ、その人のために多くあげることが人を伝道する秘訣です。−R.S.Moon−
S一: 前日又は当日確認の電話を入れる。受講動機の確認。主任を証す。手紙を書く。
S二: 宗教に対する偏見があるか聞く。手紙を書く。
S四: 神について尋ねる。心情交流。
S四でケーキ、S七で八〇%二D出る。(注:再来七日まで来た人の八〇%が二デイズセミナーに出るということ)
平成一一年五月一四日 被告証人G 証人調書 二五頁
あなたは、エーデルワイスで原告Bさんとは週にどれくらい会ったの。
行けないこともあったんですけれども、最低でも週に一回は通っていました。
大体行くときは、前もって連絡して、今日行くわよということで向こうで会うわけ。
いえ、それは突然行って驚かせます。
被告証人K 証人調書 七八頁
その聖書カバーは、買ったものですか、それともあなたのお手製ですか。
私の手製なんです。
真心を込めて作った。
そうですね。
その真心は感ずるでしょうね。
そうでしょうね。
普通の人では考えられないような真心の尽くし方、これは何のためにしているんですか。
人格完成のためですね。
被告証人K 証人調書 七九頁
原告Dに対して何か効果を期待していないんですか。
アベル、カインの原則。アベルがカインのために愛し尽くしていく中で、カインの心が変わっていく、それを願っての気持ちで作っていくものですね。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 六二頁
後出の甲第七六号証を示す
アフターマニュアルというものですが、一枚目左側の真ん中ぐらいに「ノートを渡すと書いてありますね。マニュアルとしては、ノートを渡しながら「これ使って下さい!とっても重要な内容なので、真剣に聞いてノートこ書いてほしくて。ぜひ、使って下さい」と、こういうふうにトークすることになっているようなんですよ。いかにも言われそうな言葉のように思って聞くんですが。
そうですね。ノートを渡される時点で、ビデオ受講の際、講義の内容を書き留めるためにくれたものと。メモを取ったらいいですねという感じのことを言われて渡されました。
そのノートを付けながらビデオを見るということになっていくわけですね。
そうです。
(2) スパイする
平成八年七月五日付 原告A証人調書 三九頁
霊の親は、単なる先輩だという立場、そういった偽装のもとで節目節目に出てきて、受講生の話を聞くわけですね。
はい。
この役割というのは、どんな役割なんですか。
スパイ的要素があるんですけれども、受講生にとっては霊の親って先輩で、いろいろな不安なこととか心配なことがあると、先に勉強している人なので相談したりとかするんですけれども、霊の親はその不安な霊の子の気持ちをそのときのスタッフにつなげて、今後のアフターを検討するというふうになります。
平成一一年五月一四日 被告証人G 証人調書 二四頁
原告Bさんの動向は、担当の○○○○○主任とよく連絡をとっていましたのでよく分かっていました。
被告証人K 証人調書 七五頁
ツーデイズの閉講式の際に霊の親との対面があるでしょう。
はい。行ってますね。
原告Dさんが講義にどのように相対していたか、講義をちゃんと聞いていたかどうか、どんなふうに価値転換されているかということをツーデイズセミナーのスタッフから聞いてますか。
聞いてますね。反応よかったということは聞いてますね。
心情進展一覧表というのが記載されてますね。記憶ない。
うん。
平成七年五月一九日付 原告A証人調書 五三頁〜五五頁
後出の甲第七一号証を示す
一二日、S三の一番右端のところに「高校時代友人いなかった」「札幌にて何かあり!」とありますね。そして次の日のところには「『どうして今のようなマイナス志向になったの?何かあったの?』札幌での出来事を聞く」と書いてますね。
はい。
これはどんなことがあったというふうに読めますか。
一二日の時点で、この人の人生経過をいろいろ聞いていったときに、何か悩み事があると。それが何なのかまだ一二日では分かっていないと。次のときに、札幌で何かあったことが原因ですというふうに判断したんだと思うんですよね。それで、その事情を聞き出したりとかしたと思います。
(二) 返報性のルールの変化
返報性のルールに着目すると、受講生が恩を感じる対象が実に巧みに変化させられる。ビデオ・センターや二デイズ修練会の段階では「霊の親」から一方的な親切が与えられ、その親切に恩義を感じて自分の行動を変化させていく。四デイズ修練会の段階以降では文鮮明の超人的努力と恩讐を超えた自分達に対する愛に恩義を感じ、伝道機動隊以降では自分が作りあげた「神」に対する恩義に答えるようになる(もちろん個人差はある)。
「霊の親」の親切は現存する身近な人の行為である。これは実在するものである。文鮮明の超人的行為は存在すると伝えられた人の行為である。本当に存在するかどうかは不明のことである。それが「神」になると、少なくとも原理の「神」は自分自身が作りあげた観念の世界のものである。
段階を追って恩義を感ずる対象が操作されているのであるし、自分の作りにあげた観念の世界の「神」に恩義を感ずるようになると、恩義と返報の関係は自己の内部で循環するようになる。そのためもう外からなんの恩義を与えなくても、この関係は論理的には永遠に継続するようになる。
乙ハ第四六号証 原告証人a ライフトレ新生日記 六月一一日
・「再臨論」の感想
まずやはり、再臨の国が韓国で、その国に日本が侵略したり、幸せな家庭を崩したり、教会に行く人を集め、出られないようにして燃やしたなどという事実はすごくショックだった。このような日本を許し、使命を与えた神、メシヤに本当に感謝するような気持ちでいっぱいだ。だからこそ使命を果たさなければならないと思った。
乙ハ第五〇号証 原告証人a 新生トレ アンケート
4 何故この道を行こうと決意したのですか?
自分だけの幸福のためだけではなく、先祖のため、また、神の子として神の前に帰りたいと思ったから。ここまで、こうして導いてくれた神、また愛してくれた神様に、感謝を形で表したいから。
乙ハ第五四号証 原告証人a 新生トレーニングアンケート
4 何故この道を行こうと思ったのですか。
神様の悲しみ、御父母様の苦労を知ったから。足らぬ者だけど共に苦労して、み旨を成就したいと思ったから。
乙ハ第五五号証 原告証人a 新生トレーニング 新生日記 一〇月一六日
・生活の感想
今日は風呂へ行って、お父様が興南に入っておられた二年八か月という期間は、お父様は一度も風呂には入られず、飲料水として与えられた水をとっておいては早朝、体をふいていたことを思い出して、自分たちは今、信仰の道に進むにあたってこんな豊かな生活をしていていいのだろうかと本当に申し訳なく思った。
乙ハ第五五号証 原告証人a 新生トレーニング 新生日記 一〇月一八日
・礼典について
献金について−献金に対しても同じで、どれだけ感謝して感謝の念が込められていたかというと、本当に申し訳なく思っている。また、七大名節においては、お父様がこの一つ一つの名節を立てられ、一つ一つ勝利するのにどれだけ苦労の道があり、また歩んでこれらたかと思うと、その勝利圏故に、自分達が復帰され神様のもとへ帰っていける道が開かれたんだなと思う。
被告証人K 証人調書 四六頁
一九番目、「御父母さまがいつもそうであられるように、たとえ短い時間でもみ旨が果たされていないのに眠ることを申しわけないと思って感謝して休む事。」と書いてますけれども、そんな気持ちで休むようにというふうに言われていたんでしょうか。
・・・そういうふうに言われたことも、いや、そういうみ言葉ですね、たしかあったんじゃないでしょうかね。