徹底解明 統一協会のマインド・コントロー


[一覧表の説明]  [カテゴリーの変化]  [罪意識を与え持続させる技術]
[恐怖を与え組織に縛りつける技術]  [催眠の技術]  [操作された決定]
[特殊言語の役割]  [統一協会は宗教とはいえません]  [言葉の解説]


1 一覧表の説明

 一覧表の横軸には統一協会の教育過程を時間の経過に従って左から右に配置してあります。V・Cとはビデオ・センターのこと、2デイズ、4デイズとは合宿の修練会のこと、ライフトレ(ライフトレーニングの略)とは夜に開催される講義のこと、新生トレ(新生トレーニングのこと)からは合宿になります。場所は札幌の場合を書きました。各地で当然ちがいます(札幌でも最近変りました)。
 縦軸には統一協会の入教過程で注目すべきマインド・コントロールの要素(以下「カテゴリー」という)が項目ごとに記載されています。カテゴリーの配置はできるだけ関連性の高いものを連続させることによって理解が容易になるように配慮しました。
 表の一番上こはスティーブン・ハッサンの「マインドコントロールの恐怖」に従って、統一協会の教育過程を「解凍・変革・再凍結」に分類してあります。その三つの過程相互の間は「太線」で線を引いて区分しています。V・Cの項で下線がある部分はVCへさそっている時の特徴です。
 まずなんという膨大な表でしょうか。これで全部ではないでしょう。私の分析能力の乏しさが統一協会の教育過程の重要な特徴を把握し落としていることを恐れますが、この表だけでも驚くべき多様さと分量です。統一協会の教育過程がまことに特殊な迷宮のような空間であることの反映です。

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2 カテゴリーの変化

 一覧表での整理の結果統一協会の教育過程では各カテゴリーの内容が、時間の推移に従って変化させられているということを明瞭に見ることができます。

イ.返報性のルールの変化

 例えば返報性のルールに着目すると、受講生が恩を感じる対象が実に巧みに変化させられます。ビデオ・センターや2デイズ修練会の段階では「霊の親」(最初に誘った人のこと)から一方的な親切が与えられ、その親切に恩義を感じて自分の行動を変化させていくのです。4デイズ修練会の段階以降では文鮮明の超人的努力と恩讐を超えた自分達に対する愛に恩義を感じ、伝道機動隊以降では自分が作りあげた「神」に対する恩義に答えるようになります(もちろん個人差はあります)。
 「霊の親」の親切は現存する身近な人の好為です。これは実在するものです。文鮮明の超人的行為は存在すると伝えられた人の行為です。本当に存在するかどうかは不明のことです。それが「神」になると、少なくとも原理の「神」は自分自身が作りあげた観念の世界のものです。
 段階を追って恩義を感ずる対象が操作されているのですし、自分の作りにあげた観念の世界の「神」に恩義を感ずるようになりますと、恩義と返報の関係は自己の内部で循環するようになります。そのためもう外からなんの恩義を与えなくても、この関係は論理的には永遠に継続するようになります。

ロ.好意を持たせる方法の変化

 ビデオ・センターへの勧誘の際やビデオを見た後の「和動」=話し合いの際にまず徹底的に「賛美」します。ありとあらゆることをとらえてお世辞を言うのです。それがその人の永遠の命を救う道であると意義を与えられ、「賛美」のやり方の教育を受けたスタッフがお仕辞を言います。最初はあまりに褒めてくれることに違和感を感じてもすぐ慣れていき、「賛美」が心地好くなります。
 統一協会はビデオ受講3回目までにその人の人生史(個人路程といいます)を把握することにしています。その人の生い立ちを掌握してその後の働きかけを有効なものにすることや、生い立ちを話させることによって急速に親密な関係を作りあげるためです。受講生に生い立ちを話させるために同じような問題を抱えていたという主任が自らの人生を語ります。人は自分に似た人に好意を持ちます。こんなにしっかりした人も私と同じ悩みを抱いていたんだという思いが相手方に対する好意となり、主任の自己開示に対する返報として滅多に他人に語ることのない自分の人生・秘密を統一協会に語ることになるのです。
 2デイズには班長との面接があります。権威に偽装している講師は直接受講生と会いません。第1日目の夜の面接で班長が受講生に対して、講師からの言葉としてその受講生に対する「賛美」の言葉を伝えます。たとえば「貴方が本当に真剣に聞いていたので、ついつい力を込めて話してしまいました」と講師が言っていましたよと伝えるのです。この言葉に受講生は感激します。班長は受講生全員に対してこの「賛美」をするのですが、受講生相互の交流が完全に遮断されていますので、受講生は自分にだけ講師の「賛美」が行われたものと誤解させられるのです。
 ライフトレーニングでは好意を持たせるために夕食を提供します(有料です)。一人暮らしの若者にとっては同じくらいの年齢の人達との語らいながらの食事は、なによりも楽しいものです。ランチョン・テクニックといいます。歌を歌ったり、ゲームをしたり、ピクニックをしたりという協同行動が好意を作りあげます。4デイズ以降には好意を意図的に作り出すためのテクニックは使われていないようです。統一原理がその人の頭に浸透していくにつれ厳しく対応しても統一協会を離れる恐れはなくなりますし、統一協会が必要とする早さで統一協会的人格を成長させるためには、ほめることよりも詰めることが大事になってくるからです。

ハ.スタッフの役割の変化

 スタッフの役割についても時間の推移によって変化が生まれます。統一協会は父性的機能と母性的機能の差異を承知していてその機能をスタッフのそれぞれに分属させます。
 芸の細かさはそれだけではありません。ビデオ・センターでは母性的機能の担い手である「主任」=「班長」はライフトレーニング以降単に母性的機能のみの担い手ではなくなります。4デイズ修練会で献身をせまりその決断をさせるのが「班長」の重要な任務なのですが、そのためには「包み込み、愛する」ことだけでは不可能だからです。「詰めて、決断させる」役割を持たされるのです。
 「班長」が母性的機能を担わなくなった時点からその機能を代替する「修母」が配置されます。伝道機動隊以降は父性的機能が全面にでてきます。母性的機能は「マザー」の「牧会」によって一部果たされるにすぎません。
 人間の成長のためには母性的機能と父性的機能が必要です。「厳父、慈母」という言葉がよくそのことを示しています。統一協会は当初母性的側面を全面に出して「愛」を求める若者を誘い、統一原理がその人の頭に宿るに従って父性的側面を押し出してきびしく詰めるという方法を取っています。

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3 罪意識を与え持続させる技術

 統一協会にとっては組織の構成員に罪の意識を持たせることは死活的に重要なことです。この意識が薄らげばメシアによる救済を必要としなくなります。メシアが必要でなくなれば統一協会に所属している必要もなくなるのです。
 ところで、人間は本来自己について肯定的なものです。そうでなければ生きていくことは辛くなりますから。そのような人間について統一協会はどのようにして罪の意識を抱かせ、それを持続させるのでしょうか。
 講義の最初の方に「邪心・本心」の講義があります。誰でも持っている通常の嫉妬心等の、人生経験を積めば消失していく心の動きの1つに注意を向けさせ、それを他の心の動きから切り離してサタンの支配する心であると講義するのです。その程度の「よこしまな心」の動きであれば誰でも経験しています。それがサタンの作用であるということになればそのような心の存在はサタンの存在の根拠になります。人間が堕落したのだということの根拠にもなります。罪の影さえもないように神に作られたはずの人間である私にも「邪心」があるのだから、たしかに私は堕落しているのだ、罪人なのだということを納得する根拠となるのです。
 堕落論のビデオを見た後主任が1枚の紙を持ってきて示します。人間が堕落の結果持つことになった堕落性本性が記載してあります。

(1)神と同じ立場にたてない

  ねたみ、嫉妬、自己中心、猜疑心、殺意、怨、独り善がり、独善的、不信、孤独、客観的

(2)自己の位置を離れる

  不品行、浮気、血気、怒気、情欲、三日坊主、不安、ヒステリー、イライラ、移り気、ブリッ子

(3)主管性転倒

  反逆、反抗、傲慢、強情、すねる、ひがむ、劣等感、見栄、批判、虚栄、素直になれない

(4)犯罪行為の繁殖

  自己正当化、責任転嫁、妥協、弁解、うそ、メンツ、付和雷同、反省できない、共犯、
  悔い改めきれない、自分としては一生懸命

 これだけたくさん挙げられれば身に覚えのあることはいろいろあります。あったとしても日常生活を送り人間関係を形成していくためには何の障害にもならないものです。人生経験を積むにしたがって克服できることなのです。しかし、統一協会はこのような心の動きを指摘して罪人としての意識に目覚めさせようとするのです。
 2デイズ修練会ではイエスを不信した人類の罪について自覚させます。この講義の際に催眠の技術が使われます。イエスの処刑の場面がリアリスティックに講義されます。五寸釘が打ちこまれたイエスの手のひらがイエスの重さによって裂けていく様子を語りながら、イエスの苦痛と、それを見ている父たる神の苦悩について語ります。強姦されている娘をなすすべなく見ている親の気持ちと説明されます。受講生は過剰刺激に圧倒されて自分の頭で考えることが出来なくなります。
 ライフトレーニングでは自分の過去や深層意識をふりかえれと指示します。人間は自分のことを善人だと思っているが、深層意識は罪を覚えていると講義します。確かに過去を振り返ってみれば、さまざまな「罪」が思い起こされるものです。私だって小学生の頃、同級生の女の子を殴った記憶などが思い起こされます。この方法を使えばだれにでも罪を自覚させることができるでしょう。
 ライフトレーニングでは日本民族の朝鮮侵略のビデオを見せます。日本民族としての罪を自覚させるのです。このことは本当の罪です。しかし、問題は日本の朝鮮侵略等の歴史的事実について教えられておらず、今の日本の若者がそのような事実を知らないことです。そのために統一協会における講義が不意打ちの過剰刺激となって、受講生に民族的罪を自覚させ、統一協会に引きこむために利用されているのです。
 新生トレーニングの過程にある心情解放展で過去の罪の清算をさせます。その結果、今後の人生は罪のないように生きなければならなくなります。何が罪であるかも知ってしまったのです。例えば、異性を好きになることは大きな罪です。ヌード雑誌を見ることなども罪です。統一協会に不信をすることは天法にふれる最大の罪です。
 伝道や珍味売りの活動はその目標が成就するように神が働いてくれるものであると教えられます。神は万能なのですから結果が悪いのはすべて統一協会員ひとりひとりが責任分担を果たさないからなのです。そうすると活動をしていくに従い罪の意識が増強されていきます。日々の活動が罪の意識の発生の源に変えられるのです。罪の意識は毎日の活動によって次々に発生することになり、統一協会員は絶対に罪の意識から逃れることはできなくなります。

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4 恐怖を与え組織に縛りつける技術

 恐怖についても同じことが言えます。人は通常恐怖を自覚しないで生活しています。世の中普通は安全で、平和で、喜びの方が多いのです。ところが、統一協会は人を恐怖心の虜にしなければなりません。そうしなければ人を統一協会の組織に捉らえ続けることが難しくなりますし、統一協会の指示する狭い目的の範囲にその人の活動と意識を緊縛し続けることが難しいからです。
 統一協会にとって人に恐怖を与える最大の武器は霊界や霊です。人は死んだら「霊人体」となって天国に行き永遠の生命を生きることになっていると教えます。その「霊人体」は肉身を持たないのですべてが透けて見えると教えます。心の動きのすべてが他人に見えるだけではなく、思ったことがそのまま実現してしまう世界なのだと教えます。そう言われると私達の日常においては心と行動がいかに相違しているかが、思い知らされます。このまま天国にいっては大変だと思うのです。
 2デイズ修練会では吉展ちゃん事件などいろいろな事件を例にあげて先祖の因縁について語ります。その話しが仏典などの恣意的引用によって権威づけられています。利用できるものはなんでも利用するのです。ライフトレーニング以降恐怖を与えるものはサタンとその人間社会における現実体である反対派や共産主義者になります。
 人間は堕落してサタン世界に存在していると教えます。そのサタン世界から抜け出て神の世界に戻ることが当面の課題とされます。そのためには、サタンすら屈伏するような超人的で完壁な活動をしてサタンを「分立」していかねばなりません。そうでなければ、サタンの「ザン訴権」は消えず、「ザン訴」されば地獄に落ちることになるのです。そうすると自分の日常の活動が恐怖に支配されるようになります。例えば、路傍伝道で一瞬人に声をかけることを躊躇したとします。躊躇すればその人は歩いて行ってしまうので、その人への伝道は出来ないことになります。その人と霊界で一緒になったとき「あの時、なぜ声をかけてくれなかったの」と言われたらどうしょうと恐怖に捕われるのです。自分の躊躇でその人の永遠の生命を救う機会を失わせたからです。その人がそのことをサタンに告げたら自分の活動は完全ではなくなり、サタンの「ざん訴」によって天国に行けないことになります。このようにして日々の活動自体が恐怖の源泉に転化するのです。
 統一協会員は統一協会にいるかぎり恐怖から逃れることはできません。

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5 催眠の技術

 修練会などで過剰刺激による催眠の技術が使われていることは前記のとおりです。
 自己催眠の技術として祈祷が行われます。長時間(徹夜祈祷もよく行われる)にわたる「狂的」な祈祷によって統一協会員は与えられた目標についての集中力を高め精神を高揚させます。その結果の成果は神の故として考えるように指導されます(栄光在天といます)。風邪の程度は祈祷で治します。どんなにぼろぼろになっても、祈祷によって神と一体化した統一協会員は、もっとぼろぼろになっている神のためにより一層の自己犠牲を覚悟するのです。祈祷は思考停止の技術としても用いられます。統一協会にとってマイナスの思考が生まれた時には、直ちに祈祷によってそのような思考を頭から追放するようになります。
 その上に、統一協会を辞めると地獄に落ちるとか障害児が生まれるとかの脅しを与えられているので、統一協会員は自分から組織を離れることはできないのです。

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6 操作された決定

 その人の人生を変えることになった重大な決定はビデオの受講決定(2デイズ修練会を含む)とライフトレの受講決定(4デイズ修練会を含む)と献身の決定です(内心で献身を決断することと、実際に献身することの二つがあります)。
 ビデオの受講は統一協会のウソによってなされた決定です。このビデオ・センターが統一協会の組織であることや「宗教」であることが判っていればほとんどすべての人は受講を拒否します。したがって、このウソは極めて重大なのです。「霊の親」がビデオ・センターの関係者ではないというふりをするのも重要なウソです。人は判らないときには類似した人が行った決定にしたがう傾向が強いからです。
 ライフトレーニングの受講決定や献身するという決定は2デイズ修練会と4デイズ修練会という閉ざされた空間の中で社会心理学的技術を用い、催眠の技術を利用して人に統一原理を注入し、感情を揺さぶって、その先どうなって行くのかということについての情報を何も知らせないまま決断させます。
 2デイズの講義は創造原理から始まります。二性性相とか万有原力などというわけの解らない言葉が連続する講義が続いて頭が疲れた頃、個性完成、子女繁殖、万物主管が人間を創造した神の目的であり、人生の目的もこの点にあるという比較的解りやすい講義をされ、今、ここで学んでいるあなたには氏族を救うメシアとしての使命があると訴えます。その後は堕落論、復帰摂理歴史という暗い、愚かな人間の行為を聞かせるのです。そして2デイズの最後に、現代が新しいメシア・再臨のメシアが地上に現存する可能性のある時代であるということ、地上天国の建設ができる可能性のある時代であることが講義されます。暗い重い話しを長時間聞かされた後で極めて希有な機会に恵まれていることが示されるのです。その希有な可能性に恵まれた確率は「太平洋のスッポンに流星があたる確率」などといわれます。そして、メシアが現存しているかどうか、その人が誰であるかにライフトレーニングで証されるというのです。この希有な可能性を捨てるわけにはいきませんから、多くの人がライフトレーニングの受講に踏み切るのです。
 閉講式で講師が「皆さんがこうしているのは、神の愛の導きも勿論ですが、現実的には、紹介者(霊の槻)の存在があったからです。今皆さんが味わってきた感動を伝えたくて、あれほど手紙やTELなどで尽くしてくれたのですね。いつも皆さんの知らないところで祈り涙し、時には皆さんから、きつい言葉を言われたりして、それでも皆さんが、み言葉を聞けるように条件を立ててきてくれたのですね。ぜひ紹介者の方に会いましたら、今の感動を報告してあげてください」と挨拶をします。挨拶のあと、講師が皆を代表して祈祷している時に、「霊の親」が静かにその部屋の後ろに入ります。受講生が黙祷をして後ろを振り向くと、音楽が流され、目の前に「霊の親」がいるという細工なのです。こんなに私のことを考えてくれる人に初めてあったという感動で感情が揺さぶられ、その感動の中でライフトレーニングと4デイズの受講を決定します。
 受講生は2デイズ修練会に参加したときにはライフトレーニングや4デイズ修練会に参加することになるなどとは思ってもいませんでした。
 4デイズ修練会に参加する時には献身の決意をするなどと思ってもいないのです。統一協会は決定というものが人の行動、感情、思想を変化させる特殊な力を持っていることを知っていて、それを利用しています。人を操作しているのです。

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7 特殊言語の役割

 統一協会の特殊言語が持つ機能が重要です。人間は言葉で物事を考え、言葉をコミュニケーションの手段としています。統一協会の特殊言語はその言葉がわかる者同士に仲間意識を作り出したり、その片葉がわからない者との間に溝を作り出すということとともに、統一協会員にその言葉による条件反射を作り出したり、複雑な物事を単純化することや、解決の方向をも規定することによって、その言葉を使用する人達の思考の幅を狭め、思想をコントロールする作用を果たしています。

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8 統一協会は宗教といえません

 統一協会で会員がさせられることは詐欺的な物売りと組織の拡大です。統一協会の教育過程の目的はこのふたつの事にすべてをささげる人間を作り出すことです。他のことはこのふたつの活動を支えるためにあるのです。そうですから、統一協会での生活は肉体的に苦しみの連続であるばかりか、精神的にも苦痛が止むことがありません。気分の落ちこみと高揚のくり返しなのですが、次第に落ちこみが深くなります。日常の活動それ自体が罪と恐怖の源泉であるという構造の結果、罪の意識と恐怖がはれることがないのです。それは日々過重されていきます。罪は自分の行為に関してのみ生まれるものではありません。連帯罪という罪があるのですから自分の所属している集団の失敗は自分の罪です。その集団は論理的には全人類という規模にまで広がりうるのです。
 そのような精神的苦悩と肉体的苦痛が増幅してついに活動の限界を超える時がきます。もう体が動かなくなるのです。摂理のために活動しなければならない今という時に体が動かないことはそれ自体が神に対する罪です。
 そのような状況に陥った統一協会員は自分を責めます。死んでしまいたいと思います。教義上自殺は禁止されています。死ぬこともできずに祈祷室で自分の肉体が消滅することをひたすら願望するのです。そのような危機が通常3年目に訪れるので、3年目の危機と言われています。
 その危機の後、統一協会員は自己の弱さや統一協会の規範に反する行為をすることをさまざまに合理化するようになります。そうでなければ生きていけないことを体が学ぶからです。神もサタンも見ているのに、「ええ、いいや」と敢えてその禁を犯すのです。真面目に考えたら恐ろしいことですから真面目に考えることを放棄します。そのような行為を積み重ねていくので幹部になればなるほど堕落して行きます。
 統一協会の組織は建て前の支配するところです。本音で話し合うことはありません。表向きは常に教義に従い、なんの矛盾もないように生きています。したがって、自分の悩みを隠し外面を取り繕うことになります。さらなる堕落が追加されるのです。
 合理化する方法で規範を「乗り越える」ことができない真面目な人はノイローゼに陥るか、心身症になるでしょう。
 ですから、統一協会は人間の魂を救済する組織では到底なく一部の幹部の経済的利益や政治的野望のために人間を破壊するところなのです。

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言葉の解説

 この一覧表は統一協会のマインド・コントロールを分析した準備書面の最後につけたものです。したがって、この一覧表を読むだけでは理解が困難な部分があるかと思います。全体についての解説をする余裕はとうていありませんのでこの一覧表で使われている社会心理学の専門用語について、本から引用して簡単な解説をすることにいたしました。より正確に言葉の意味を理解したいと思われる方は次の本をお読みください。

・ スティーブン・ハッサン著  「マインド・コントロールの恐怖」  恒友出版
・ ロバート・B・チャルディーニ著  「影響力の武器」  誠信書房
・ S・ミルグラム    「服従の心理」  河出書房新社
・ 池見酉次郎    「催眠」  NHKブックス
 なお、この一覧表はいわゆる「原理用語」については解説をしていません。必要のある方は川崎経子著「統一協会の素顔」(教文館)の原理用語解説をご参照ください。

[希少性]  [好意]  [返報性]  [社会的証明]  [一貫性]  [権威]  [集団への順応]  [催眠の技術]


1.希少性

 手にはいりにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくるという人間の心理。これを商売に利用する技術としては「数量限定」や「最終期限」といった承諾誘導の技術があげられます。希少性の原理が効果を上げる理由は手にすることが難しいものはそれだけ貴重なものであることが多いので、ある品や経験を入手できる可能性がその質を判定する手っ取り早い手掛かりとなるからです。
 希少性の圧力に対して心を鬼にして理性で対抗するのは困難です。それが思考を困難にしてしまうような情動を引き起こす性質を持っているからです。

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2.好意

 自分が好意を持っている知人から何か頼まれるとほとんどの場合その依頼を承諾します。人は好意を持っている人の指示に従うのです。そしてより重要なことは人を操作して好意を持たせることができるということです。
 人は自分に似ている人を好みます。この事実は意見やパーソナリティー、経歴、ライフスタイルなど、どのような領域の類似性においてもあてはまるようです。したがって、私たちから好意を獲得し自分にしたがわせようとする人は、似ていることをさまざまな方法で示すことによってその目的を達成することができます。
 人はお世辞を好みます。私たちを操作しようとする意図が明白な場合にはだまされないという多少の制限はつきますが、一般的にいって私たちには他者からの称賛を信じ、それを与えてくれる人を好む傾向があります。
 協同行動によって好意が生まれます。ですから、好意を持たせるには協同行動をすればいいのです。
 人は不快な情報をもたらす人を嫌う傾向があります。たとえ、その人が悪い知らせの原因ではないとしてもです。その知らせと結びついているというだけで私たちの嫌悪感を刺激するのです。魅力的なモデルの特性→美しさと好ましさ→が商品に結びつくからこそ、美人モデルがコマーシャルに登場するのです。連合といいます。
 ランチョン・テクニックとは食事中に関わりのあった人や物をより好きになることを利用したテクニックです。

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3.返報性

 他人がこちらに何等かの恩恵を施したら似たような形でそのお返しをしなくてはならないというルールです。こうした恩義の感覚を伴う返報性のルールは人間社会の文化に広く浸透しています。承諾誘導の技術のなかでもっとも強力な威力があります。
 困ったことに、頼みもしないのに勝手に親切を施すことによって私たちの心の中に恩義の感情を生み出すことができます。人には好意を受け取る「義務」があります。ですから、私たちは恩義を感ずる相手を必ずしも自分で選ぶことができませんし、返報性のルールの力を他者の手に委ねることになるのです。

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4.社会的証明

 私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて、物事が正しいかどうかを判断するという傾向が強いのです。この原理が特に適用されるのは正しい行動が何であるかを私達が決める時です。特定の状況のもとで、ある行動を遂行する人が多いほどそれが正しい行動だと見なすのです。たいていの場合、多くの人が行なっているのであればそれは正しい行動であるということが、このルールの成立した根拠です。
 一般に、自分自信に確信が持てないとき、状況の意味が不明確あるいは曖昧なとき、そして不確かさが蔓延しているときに、私たちは他者の行動を正しいものと期待し、また、それを受容するようです。
 社会的証明の原理は自分と似ている人の行動を見ているときにもっとも強く作用します。どう振舞うのが適切なのかを考えるとき一番参考にするのは、自分に類似した他者の行動です。

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5.一貫性

 競馬場にいる人々について次のような事実が発見されています。馬券を買った直後では、買う直前より、自分が賭けた馬の勝つ可能性を高く見積もるようになっていたのです。もちろん、その馬が勝つ可能性は現実にはまったく変わっていません。それは自分が既にしたことと一貫していたい(そして、一貫していると見てもらいたい)という、ほとんど脅迫的ともいえる欲求によるものなのです。ひとたび決定を下したりある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように個人的にも対人的にも圧力がかかります。そのような圧力によって、私たちは前の決定を正当化するように行動するのです。
 強力な一貫性のルールを働かすものはコミットメントです。もし私があなたをコミットメント(すなわち、立場を明確にさせる、公言させる)ことができたとしたら、自動的にそのコミットメントと一貫性を保たせるためのお膳立てができたといってよいでしょう。立場を明確にしてしまいますと、その立場と強固に一貫して行動しようとする傾向が自然に生ずるのです。
 ちいさな要請に同意する場合にも十分注意しなければなりません。それに同意することによって類似したもっと大きな要請を承諾するようになるばかりでなく、最初に同意した小さな要請とはほとんど関連のないさまざまな種類の大きな頼み事を受け入れやすくなってしまいます。
 自己のイメージを操作するために小さなコミットメントが使えます。市民を「公僕」に、購買見込み者を「顧客」に、捕虜を「協力者」に変えるためにも小さなコミットメントを使えます。望むような形に人の自己イメージを変えることができたならば、その人は、新しい自己イメージに関連したあらゆる範囲の要請を自然と受け入れるようになるのです。
 自分自身の行動が自分がどんな人間であるかをおしえてくれます。自分の行動が自分の信念や価値や態度についての第1の情報源なのです。中国人が捕虜に促した確認行動の一つに意見を文字にして書かせるということがありました。意見を書くということはコミットメントの方法として大きな利点があります。証拠がのこることと、他人に見せることができるということです。行動を含むコミットメントをしてしまうと自己イメージには二つ面からの一貫性圧力がかかります。内からは、自己イメージを行動に合わせようとする圧力がかかります。そして外からは、もっと密かな圧力−他者が自分に対して抱いているイメージに、自己イメージを合わせようとする傾向−がかかるのです。人は書いてしまったことに見合うように行動するのです。
 コミットメントに労力が投入されはそれだけコミットした人の態度に与える影響が強くなります。自己イメージや将来の行動を変化させるためにはなんらかの行動を含み、人前で行われ、努力を要するコミットメントがもっとも効果的なようです。
 しかし、今あげた三つを合わせたよりもっと重要でコミットメントを効果的にするものがあります。自分の意志で行なった行為であると信じさせることです。そして、人は外部から強い圧力を受けずにある行為をすることを選択すると、その行為の責任は自分にあることを認めるようになるのです。
 心の中の変化を導くコミットメントには「自ら自分を支える脚をつくる」というもう一つの魅力があります。ですから、そうした行動をとることになった元々の理由がなくなっても、新しく発見された理由だけで正しい行動を取ったというふうに考え続けることが十分にできるのです。
 一度相手に決定を下させてしまえばその決定が新しく作り出される支柱の上に立つようになるのですから、最初に相手を誘った条件を取り除いてしまってもいいのです。
(以上、ロバート・B・チャルディー二者、影響力の武器、誠信書房より引用)

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6.権威

 権威の持つ影響力の強さについて衝撃的な実験があります。大学の中で、研究者らしい風体の人から「罰を与えることが学習と記憶にどのような影響をおよぼすかを明らかにするため」との説明を受ければ、被験者の3分の2の人達が450ボルトと表示されたレバーを引いて回答を誤った生徒役に電気ショックを与えるのです。生徒役もスタッフの1人であって電気ショックは実際には与えられておらず、その人は苦悶の演技をするのです。被験者である教師役の一般公募の人達は驚くべき「誠実さ」で、「権威」たる大学の「研究者」らしい風体の人の指示に従うのです。電気ショックを与える装置には195ボルトの所に「非常に強いショック」、225ボルトの所に「はげしいショック」、315ボルトの所に「きわめてはげしいショック」、375ボルトの所には「危険すごいショック」と表示され、435ボルトからは「×××」という表示がされているのにもかかわらず、なんと3分の2の人達が450ボルトのレバーを引くのです。
 人は権威者の命令にはとにかく従おうとするのです。
 見かけの権威も同じように人の服従を引き出すことができます。

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7.集団への順応

 ソロモン・アッシュ博士の実験が有名です。8人の集団に2枚のカードを見せます。1枚のカードには線分が1本だけ書かれており、もう1枚のカードにはそれぞれ長さの異なる3本の線分が書かれています。被験者は3本の線分のうちどれが1本だけ書かれた線分と同じ長さなのかの判断を求められるのです。8人の内7人はサクラであり、真実の被験者は1人です。順に答えを言うのですが、真実の被験者は7番目に答えます。サクラが全員一致で故意に誤った解答をした場合にその影響は被験者にどのように及ぶかという実験なのです。なお、このような全員一致の誤りに直面しない実験では被験者は誤りの答えをほとんどしなかったのです。それくらい簡単で普通間違うことなど考えられない実験なのです。
 アメリカの男子大学生が被験者になった実験でなんと3分の1の被験者が多数者であるサクラの誤った回答と同じ誤りか、長さにおいて同一方向の誤りをしました。ことほどさように人間には集団への順応の傾向が強いのです。

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8.催眠の技術

 統一協会は2デイズ、4デイズなどで、意図的に受講生に「まどろみ」の状態を作り出します。知的な活動の中枢である大脳の働きを意図的に低下させるのです。そのことによってその人の判断基準枠が働かないようにして、新しい価値観が浸透しやすいようにしているのです。
 人の脳が適切な対応をすることができる刺激の範囲は限られているといわれます。刺激が少なすぎても人間の脳は健全な働きをしません。例えば、感覚遮断の実験など(無音で無刺激な部屋に被験者を隔離する)では被験者に幻覚などが現れます。過剰な刺激にであうと頭は急に真っ白になったような感じで働かなくなり、言われることをそのまま受け入れてしまいます。統一協会はこの過剰刺激による催眠の技術を用いています。キリストに対する拷問や、文鮮明に対する拷問の講義等がその現われなのです。
 統一協会がその構成員を支配する方法の一つとして、祈祷による自己催眠と思考停止が重要です。統一協会はその構成員が常に祈祷するように指導しつづけます。祈祷は統一協会員のパワーを極限まで高めて活動に邁進させるための方法であり、他のさまざまな事柄などに興味や関心を移さないで、ただ統一協会が指し示す当面の課題にのみ集中させるための方法でもあります。祈祷によって「神」との対語の世界に陶酔するようになれば統一協会の教義に疑問を持つことなど一切なくなります。
 祈祷による思考停止も重要です。非原理的な考えが頭に浮かんだりしたときに、祈祷によってその考えを頭から追い出すのです。



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