2004年1月8日・提訴
2013年5月13日・結審
判決期日・未定
統一協会の違法な勧誘行為によって信仰の自由を侵害されたことが不法行為であるとして、献金をさせられたり、物品の購入をさせられたり、セミリー代等を支払わされたことにより同額の被害を受けたのでその回復を求めるだけではなく、信仰の自由を侵害されたことにより精神的な苦痛を受けたとして慰謝料の請求もした訴訟です。この訴訟類型で、元信者にとっては統一協会の被害全部を同一の訴訟で請求することができることになります。したがって、今後は元信者についてはこの訴訟が積み重ねられていくことになるでしょう。
この訴訟は16年間闘い勝訴した「青春を返せ訴訟」の成果を土台にしています。主張の特徴は、統一協会の違法な勧誘行為によって、信仰の自由が侵され、統一原理を真理だと信じさせられた結果、統一原理によってのみ考え、判断することを強要され、その結果自己本来の自由な意思形成が阻害されたことを不法行為であるとしていることです。
「青春を返せ訴訟」と基本的には同一ですが、訴訟の名前を変えることにしたのは、青年以外の方々も被害に遭われており、原告となってきているからです。
この訴訟には、定着経済の被害回復をのみ請求している原告がおります。
この訴訟は、統一協会の違法な勧誘行為によって信仰の自由を侵害されたことが不法行為であり、その結果統一協会の行っている定着経済によって物品(宝石、着物、絵画、高麗人参茶など)を買わされことにより被害を受けたので、売買代金と同額の被害の回復を求めた訴訟です。この訴訟は「青春を返せ訴訟」の原告たちが「青春を返せ訴訟」の際には請求できなかった物品被害の回復を求めて提訴したものです。物品被害の回復は、献金などとは違ってお金の交付の対価として着物などが交付され売買という形式を取っていますし、その売買の際に因縁や霊のたたりなどを告げるなどはせず、畏怖困惑させるような態様ではないので「霊感商法」とも違っており、統一協会の責任を追及することができないと考えられていた訴訟でした。これまで、実際におこされた裁判でも原告側が負けています。その点で新しい挑戦なのです。
また、この訴訟では元信者が統一協会員としてアベルの指示を受けながら、親や兄弟や友人に着物などを売りつけたことについて、親などが原告となって、統一協会の責任を追及しています。その売買の際には畏怖困惑させるような言葉は使われていませんので、その手段方法を社会的相当性を欠いており違法であるということまではできません。この訴訟では、「青春を返せ訴訟」の成果を土台にして統一協会が元信者を勧誘しその信仰の自由を侵害した目的が「対象者の財産の収奪と無償の労働の享受および新たなる被害者の再生産」であること、親や友人への物品の売買はその目的の実現のための行為であるから元信者に対する不法行為と相当因果関係のある損害であると構成しています。これも全く新しい挑戦となります。
掲載してあるのは、訴状の内、統一協会の行為の違法性の総論部分だけです。これだけで約15万字あります。「青春を返せ訴訟」の蓄積と札幌地裁・高裁判決による成果を集大成しています。統一協会の行為の違法性に関しては、これで充分であると思います。実際の訴状では、この後に違法性の各論部分、すなわち各原告の具体的事情が記載されています。責任論や損害論はそんなに長くありません。それらが合計約10万字あります。合計約25万字の訴状となりました。統一協会の違法行為は複雑狡知ですから、その全体像を裁判所にわかってもらうためにはこれだけの長さが必要だったのです。