岩見沢地区会計帳簿



入手経路統一協会の弁解に対する反論統一協会の会計帳簿としての信憑性
実績とは何を示しているのか「経済単位別・売上等・経費一覧表」の分析
仕入先企業について泣tレッシュライフについて
ブルー展と統一協会の地区組織関係ブルー展の準備健康展について


統一協会岩見沢地区の会計帳簿が示すこと


(1)入手径路について

 統一協会岩見沢地区の会計帳簿(以下「会計帳簿」という)は、平成五年六月一六日、当時、統一協会岩見沢地区の協会員であったAさんが、当時の岩見沢地区の教会長上部利一、、婦人部長B、会計Cとの話し合いの中で、交付を受けたものである。この話し合いを行った場所は統一協会岩見沢地区教会であって、多数の信者等が近くにいた状態での話し合いであった。そして、Aさんは年齢六〇歳、小柄な男性であるのに対して、教会長であった上部利一は身長が一八〇センチを越える体格の持ち主であった。
 Aさんがこの話合いをもったのは、ご本人の明示の禁止にもかかわらず「祝福」(平成五年に実施された三万双)のための準備献金、祝福献金がAさんの不知の間に信者である奥さんの手で協会に行われていたからである。そこで、Aさんが、それらの献金の岩見沢における明細とその支出先の明細を求めて、話合いをしたのである。その話し合いのなかで教会長の上辺はそれらの献金等を集計した一覧表を示したのだが、それでは実際の所がわからないではないかというAさんの反論に対して、会計担当のCが持参したものである。その持参した資料はその場で検討するには大部すぎたので、Aさんは自宅に持ち帰って検討することを伝え、自宅に持参したというのが入手の径路なのである。
 後にこの会計帳簿が週間文春などで公開されたとき、統一協会のマスコミに対しておこなったコメントのなかで、「信徒会会員のA氏が、本年6月15日、信徒会の婦人部長と会計係を殴る、蹴る、さらに机をひっくり返すという暴力を働き、脅迫し、事務室の机の中等から『信徒会の帳簿及び資料』を強奪した」と言っているのであるが、右はまったく事実に反することである。それが証拠には、そのコメントの中で、信徒会の被害者がA氏を告訴するということを強調しているのだが、Aさんに対する告訴は現在にいたるも一切されていないのである。

 以上の入手径路からこの会計帳簿の信憑性は明らかであるが、もし、統一協会の主張するようにこの会計帳簿が強奪されたものであるとしても、その内容の信憑性にはなんの影響もないことは明らかなことである。

(2)統一協会の弁解に対する反論

 統一協会がこの会計帳簿についておこなった反論は、それが統一協会のものではなく、「信徒会」のものであるという点だけである。その根拠として統一協会が主張しているのは統一協会の会計簿には「宗教法人 世界キリスト今日統一神霊協会」という名前が入っているということだけである。このような子どもだましというべき「言い訳が説得力を持たないことは特別にいうまでもないことである。この会計帳簿が統一協会岩見沢地区の正規の会計帳簿であることは、次の事実から証明される。
 この会計帳簿には岩見沢地区の組織図が付いている。統一協会岩見沢地区の協会員の配置及び氏名が記載されたもである。教会長佐藤三佳以下婦人部長・壮年部長・会計・事務という役職とその担当者の氏名も記載されたものである。教会長の統括する組織が信徒会などではなく、統一協会岩見沢地区の組織そのものであることは疑いがない。組織表の中に会計という役職の記載があり、その担当者としてCという名前が記載されている。この会計帳簿は平成五年一月から六月分までで筆跡から判断して同一人物の手によるものなのであるが、その五月分の各所に小さい訂正判が押されている。その訂正判がCという小さい丸判なのである。したがって、この会計帳簿が統一協会岩見沢地区の会計担当者であるCの作成であることは疑いのないところである。
 また、この会計帳簿の中には統一協会岩見沢教会の所在場所であった「アイカム」の家賃・ガス代、電気代、の支払いが記載されており、組織表に対応した「フレンズ」という名称のビデオ・センターや保育室や「フレッンュ・ライフ」という名称の店舗に対する経費の支払い等が記載されているのであって、この帳簿が統一協会の岩見沢地区の全組織の、表にださない会計帳簿であることが明らかである。

(3)統一協会の会計帳簿としての信憑性

 統一協会の弁解はこの会計帳簿が「信徒会」の会計帳簿であるということである。信徒会と統一協会本体がどのような関係にたっているのかについての説明はないのだが、信徒会という名称から判断して、統一協会の信徒の組織というものであろうから、統一協会との関係の密接なことは疑いがない。この会計帳簿が統一協会の信徒会のものであるという場合には、統一協会の信徒会が経済活動を行っていることの動かしがたい証拠にこの帳簿はなる。しかし、この会計帳簿が統一協会そのものの帳簿であることについては、前述した通りである。

(4)実績とは何を示しているか

 統一協会の会計帳簿は「94年1月経費」と冒頭に記載されている現金出納帳(以下現金出納帳という)と書類名の記載はないのだが、経済単位毎に商財や収入の区別ごとにその売り上げを集約した一覧表(以下「売り上げ等一覧表」という)と各商財や献金などについて日付ごとに売り上げ対象者ごとに売り上げと現実の収入を記載した表(以下「個別売り上げ表」という)とで一ヶ月が構成されている。
 現金出納帳は現金の出入りを日付ごとに項目ごとに記載しているものなのであるが、出納帳であるから当然に現金の出と入りがある。一月分の現金出納帳の冒頭に記載があるのは「先月繰り越し」という項目で収入金額欄に「6631760」という記載である。残高欄にも同じ数字が転記されている。この意味は一二月末日現在の現金保有高がこれだけあり、それがそのまま九四年一月の会計に引き継がれていることを示している。その後約二頁にわたって支出の記載が継続する。意味のわからない「隠語」を用いた項目の記載が継続しているのだが、一月一四日にはじめて収入の記載がある。項目は「〜実績」という。
 その後の収入の記載を詳細に検討してみると、収入の場合にはそのほとんどが「実績」という項目の記載になっていることが分かる。統一協会岩見沢地区に現金が入金になるときには実績という名称によるものであることが明らかである。その他の収入は「〜戻り」という項目がほとんどで、一旦何等かの理由で支出されたものが返金されたというものなのである。そうするとこの「実績」という記載が一体なにをしめしているのかを解明すれば、統一協会岩見沢地区の収入が明確になるのである。
 「94年1月」の現金出納帳によって、一月の「実績」を総計してみると、合計一八二六万二九四五円となる。この数字は一月三一日付けの「売り上げ等一覧表」の合計金額「一八二六万二九四五円」ときわめて近い数字となる。
 「売り上げ等一覧表」の下段の「経費」の項目の合計金額は「663」であるが、現金出納帳の経費として評価されるものの合計を算出してみると約六七四万円であり、これもきわめて近い数字となる。
 「売り上げ等一覧表」の返済欄の合計は「498」となるが、現金出納帳の中の返済金額を集計するとその金額は「四九八万円「になるのである。これは完全な一致である。
 同じく「利息」の項目について対比をすると「売り上げ等一覧表」の記載が「5」に対して現金出納帳の集計が二万一〇〇〇円である。リベートについては「売り上げ等一覧表」の数字が「208」であるのに対して現金ん出納帳の中の「RB」の項目を集計するとちょうど二〇八万円となるのである。税金の項目についても「売り上げ等一覧表」と現金出納帳の数字は一致するのである。そうすると、「売り上げ等一覧表」は九四年一月の収入と支出についてそれを経済単位や費目ごとに総括したものと判断することができるのである。結局、「実績」という売り上げの内容は「売り上げ等一覧表」を分析することによって、明確になるのである。

(5)「経済単位別、売り上げ等、経費一覧表」の分析

 一月三一日付けの「売り上げ等一覧表」の収入の部分の列の方は、「岩見沢」・「江別」・「CH」・「合計」の四つの項目に分かれている。「岩見沢」と「江別」が組織表の記載から判断して、統一協会岩見沢地区内の地域的な組織の分割形態に対応したものであることは明らかである。統一協会岩見沢地区は江別地域の組織と岩見沢地域の組織から成り立っているわけである。その地域ごとの組織が内部で機能的に分割されていることは組織図から明らかである。
 「売り上げ等一覧表」の「岩見沢」と「江別」という記載は上記のとおりの理解で誤りないとして、「CH」という記載は一体何を意味しているのであろうか。統一協会用語で「CH」とは「支部」という意味である。統一協会の支部とはビデオ・センターからはじまって実践トレーニングまでの「教育過程」の中にいる教育対象者および教育をおこなう側の人間達の組織なのである。統一協会の教育過程においても商品の販売活動が行われる。
 実践トレーニングなどではトレーニング生が自分の親などを「呉服展」などに動員して着物を販売する活動をするが、そのような売り上げが「CH」での売り上げとして計上されるのである。
 「行」の側面から「売り上げ等一覧表」を分析してみると、項目の記載は「M」・「DJ」・「Sau」・「チケ・コース」・「Blue」・「その他S」という記載になっている。これらは統一協会内部で使用されている「特殊用語」でM=マナ=朝鮮人参茶・朝鮮人参濃縮液のことであり、DJ=男女美化粧品のことであり、Sau=遠赤外線サウナ=商品名アセデールのことであり、「イノ・コース」とは統一協会が既婚婦人(壮婦どいう)を対象にビデオをみせる時に販売するチケットのことを言い、Blue=定着経済=着物、毛皮、絵画、宝石などの販売をおこなう業務のことをいうのである。
 したがって、この一覧表の示すところによれば、九四年一月中にM=朝鮮人参濃縮液が岩見沢地域で二五五万一〇〇〇円売り上げがあり、江別地域で七一万三〇〇〇円の売り上げ、支部で三四万三〇〇〇円の売り上げがあり、岩見沢地区全体では三六〇万七〇〇〇円の売り上げになったということを示しているのである。同じように男女美化粧品の売り上げが岩見沢地域で一一四万四三一五円、江別地域で一六万四九〇四円、支部で九万五一四円で岩見沢地区全体では一四〇万四三五九円なのである。その他もすべて同じことである。
 この内定着経済を示すBlueの場合には後述するように販売の「法的主体」が統一協会の岩見沢地区になっているのではない。定着経済の商品を販売するための会社が設立されており、その販社が売り主となる。そうでありながら、統一協会の岩見沢地区にBlueの収入が計上されているのは、販社から統一協会岩見沢地区に対して、売り上げの一部が送金されるからである。販社から統一協会の岩見沢地区に売り上げの一部が送金されるのは、定着経済の実施=販売活動が後に述べるように統一協会の地区を販売の主体、対象客の動員の主体として実行されるからである。
 「売り上げ等一覧表」には以上の下の部分に「HG」という記載がある。これは統一協会岩見沢支部が行った一年以上の借り入れのことを言う。その下にある「TK」とは期間が一年以内の短期借り入れのことを指す。統一協会にとっては借り入れも「実績」として収入として計上することができる会計構造になっている。
 その下の「NT 月例」というのは月例献金のことであり、単に「NT」というのは献金のことである。宗教法人の会計帳簿で収入として似つかわしいのはこの「献金」の部分のみであろう。
 支出の項目で注目を引くのは「リベート」という記載である。リベートととして一月には二〇八万円もの金額が支出されている。宗教法人にとってリベートとは一体何を指すのかと考えるとよく分からないのであるが、商売をおこなう会社についてリベートを考えるとなにも不思議なことではない。
 通常リベートとは取り引きに関係してその値引き的行為として行われることなのであるが、統一協会にとってのリベートとは販売手数料のことを指している。マナにせよ着物にせよ「展示会」を開催して販売する場合にその展示会場に対象者を動員してくるのは統一協会の地区の構成員である。その構成員が献身者である場合にはリベートは一切支払われないのだが、壮婦といわれる既婚婦人が動員を行ってその結果商品が売れた場合には商品によって違いはあるが、一定の販売手数料が支払われることになっている。
 そのようにすることが既婚婦人の場合には販売意欲を増大させるという即無んとともに、そのような販売手数料を支払わなければ既婚婦人の場合には活動も困難であるという経済的問題があるようである。そのように商品の販売にともなう経費が明瞭に掲載されているところに、この会計帳簿の大きな特色がある。
 支出の欄の「店舗」という区分の欄にはリベートの記載がありながら、支出の「CH」(支部)の欄にはリベートの欄すらないのは、支部は献身者のみで構成されていて、既婚婦人が構成員のなかにはまったくいないから、リベートを支払うことがまったく予定されていないからである。
 定着経済の場合には統一協会の地区は自らが商行為の法的主体になるのではないが、それ以外の場合には統一協会の地区が商行為の法的主体になっている。表向き(顧客との関係では)はそうなっていないのだが、実際には統一協会の地区が商品を仕入れてそれを販売するということになっているのである。商品をしいれるのであるから、当然に仕入れ代金を支払わなければならない。
 現金出納帳には仕入れ代金の支払いが明記されている。たとえば一月一三日の欄には項目として「原価代」と記載されて七一七九七円の支出が記載されている。これが男女美化粧品の仕入れ代金の支払いを示すものであることは疑いがないであろう。一月の末には「蕩減原価代」として五五二万円の支出が現金出納帳に記載されている。この蕩減原価代というのはこの時点ではマナについては原価のことを示しており、蕩減という意味は統一協会の内部でこの原価が韓国へ支払われるものであるということを意味している。
 以上の通りの検討で統一協会の岩見沢地区が経済活動としての物品の販売活動をしていることは疑いがないであろう。商品の仕入れ代金の支出が現金出納帳に記載されており、売り上げのなかに人参濃縮液やサウナなどの商品の売り上げが計上されており、販売手数料たるリベートがその構成員に支払われているという関係は、まさしく商品の販売をおこなう「商社」と把握するのが妥当であることを示している。

(6)仕入れ先企業について

 仕入れ先企業として会計帳簿の中から浮かびあがるのは、株式会社北翔クレインと有限会社一誠である。たとえばこの会計帳簿の中に領収書が一部ある。あて先が岩見沢、領収者がDとなっている。一二月インナー代というのが正し書きである。ここで、Dとは北翔クレインの会計担当者Dのことである。インナーとは男女美化粧品が扱う女性用の下着のことである。
 株式会社北翔クレインは統一協会北海道ブロックが統括する販社である。従前霊感商法の販社としては世界の幸せが全国単位で組織され、その下に全国八区域に世界の幸せ社が配置されていた。北海道には世界の幸せ北海道が存在していたのであるが、その会社はその後株式会社アークカンパニーと商号を変更し、減殺は解散されている。
 株式会社アークカンパニーが使用していた電話は株式会社北翔クレインに移転され、その電話がなると「はい、アークカンパニーです」と答えるということが行われている。
 有限会社一誠はサウナとか健康飲料などを販売対象品目として設立された統一協会の販社である。これれらの統一協会のダミー会社が統一協会岩見沢地区の商品の仕入れ先となっているのである。

(7)有限会社フレッシュライフについて

 統一協会岩見沢地区もその配下に販売組織としての有限会社を持っている。有限会社フレッシュライフがそれである。有限会社フレッシュライフは平成五年一月四日に資本金三〇〇万円で設立されている。
 所在地は岩見沢市一条西四丁目四番地で、その一階は統一協会のビデオセンター・フレンズが入っているビルである。当初有限会社フレッシュライフの代表取締役は統一協会岩見沢地区教会長の佐藤三佳であり、現在の教会長である上部利一が取締役に就任していた。
 現在の代表取締役はEである。Eは組織表の中でもフレッシュライフの欄の一番上に記載されている。この会社の資本関係を示す伝票が会計帳簿のなかに残されている。その伝票によれば資本金三〇〇万円の内、「積み立て金」からの支出が一一〇万円、「CH」支部からの支出が七〇万円で明瞭に統一協会から野出資であることが判明するものが一八〇万円と過半を占める。
 佐藤地区長返済分五〇万円と上部利一五〇万円の合計一〇〇万円についても、献身者である彼らには私有財産はまったくないのであるから、統一協会の地区の金が流用されていると考えて間違いがない。とすると資本金三〇〇万円の内二八〇万円は統一協会の資金である。Fが二〇万円を出資したことになっているが、Fは組織表によれば江別地域の保育の担当者である。このような人が販社の出資者になることは考えられないから、たぶん名義を借りたにすぎないのではないかと思われる。
 以上のとおり、有限会社フレンュライフは統一協会岩見沢地区が設立した会社なのである。統一協会岩見沢地区としては九四年四月以降商品販売の取扱いを有限会社フレッシュライフに移行していることがこの会計帳簿から窺える。統一協会がいかなる商法とも関係がないという対外的弁明をより本当らしくすために、従来は北海道段階で分離していた組織形態を地区の段階においても分離しょうとした方針の現われである。
 この時期全道で有限会社の設立が進められた。そのような組織をつくってもこの会社が、統一協会のダミーの組織にすぎないことは、この出資金の出所を示す会計伝票一枚の存在で明らかである。

定着経済・ブルー展の仕組み

1.ブルー展と統一協会の地区組織の関係

 統一協会のブルー展は統一協会の地区組織と統一協会の設立した販社とが共同して遂行する経済活動である。ブルー展は展示会を開催してそこで着物、宝石、絵画、毛皮等の商品を販売するのであるが、その展示会に客を動員し、展示会の場で販社の人間がなるアドバイザー(あるいはコンサルタント)と一体になって霊感商法でいうヨハネ役を務める(ビデオ・センターへの勧誘の際に紹介者の役割を果たす役・人が決断を迫られる時、みじかな他人の意見に従う傾向が強いことを利用した商売の形態)のも、場合によっては商品の配送から集金までも担当するのが、地区の統一協会員である。
 販社は独自に展示会の宣伝を社会に対して行うことはないし、販社も商品も社会的な認知を受けていないのであるから、統一協会のブルー展でともかくたくさんの商品がうれるのは、勧誘するのが地区の統一協会員に近しい人達で占められているのに、社会的証明のルールを利用した販売形態を利用していることにあると考えられる。したがって、あらゆる意味において、統一協会のブルー展は地区の統一協会の存在なしに成立する商売ではない。

2.ブルー展の準備

 ブルー展の最初の取り組みは統一協会の地区の責任者と販社の営業部長クラスの人間とのスタッフ会議である。統一協会の地区の責任者にとってはブルー展は嫌々取り組む課題なのだという。売り上げが直接地区の実績になるわけではなく、二〜三ヶ月後にリベートとして還流してくるにすぎないので、毎月の現金の獲得に頭を悩ましている地区の責任者にとっては後回しにしたい課題なのだという。そのような地区の責任者を説得して展示会の日時や販売目標や動員戦略を協議し、伝道その他の地区のスケジュールとの調整をするのがスタッフ会議の役割である。
 スタッフ会議の終了の後、地区の各部署毎に日程を決め、販社の営業部長が地区の統一協会員に対して啓蒙活動を行う。統一協会員にとっては教義の上からも教育過程の教育の上からも、商品を販売するのは、それが「摂理」のためであるからであり、本人は知らなくても堕落人間である販売対象者にとって救いの条件になるからであり、自分自身の救いのためにも必要なことなのだからである。そのような統一協会員の思いと矛盾することなくブルー展の開催とが結びつかなければならない。そのために販社の営業部長は開催される展示会の摂理的意義ー宗教的意義を力説する。商品知識の理解も必要である。そのものが一般的にも素晴らしいものであることとともに宗教的な意味合いを商品に与える講義をする。そのことによって単なる着物が救いの価値をもったものに変化するわけである。
 五大トークなどの動員方法や統一協会員が務めるヨハネ役の重要性などの販売方法の講義も行われる。
 啓蒙活動の終了とともに統一協会員は客のリスト・アップをさせられる。客のリスト・アップがうまく行くのはやはり啓蒙活動がうまくいった場合なのだという。「信者」がリスト・アップした動員対象者についてチェッカーがついて一人一人検討をおこなう。そのなかで特に重要な客については特別な動員体制をとる。
 リスト・アップした客にダイレクト・メールを発送する。メールの発送後、地区で動員決断式を行う。総決起集会である。全体の勢いをつけるためである。決起集会の後は動員路程となる。毎日日報体制を取り、電話で報告をとって各部署の動員決定人数の統計をとる。動員目標を達成するまでギリギリと課題の達成を詰める。
 展示会前日にアドバイザー研修を行う。マニュアルに従った商品知識の修得と、マニュアルにしたがった販売方法の修得である。着物展についてはプロのアドバイザーを外部に頼むという。販売方法は動員をかけた地区の統一協会員がヨハネ役としてアドバイザーを証す立場に立つ。中心者たるタワー長がいて、その者の所にすべての情報が集中され、一定の時間ごとに客の状態がそこに報告され、事前に掌握している客の情報に適合した指示がタワー長から担当者に与えられることは他の霊感商法などと変わらないのである。
 統一協会のブルー展が成功するのはヨハネ役を務める地区の統一協会員が知っている人を招待すること、その人がコンサルタントと同じ立場を取らないこと、その人が物をうることについて堕落人間の救済のためという意識で熱意の塊となっていること、二〜三時間の長時間にわたって、統一協会員だけの特殊な環境の中に隔離し様々な販売の手法を駆使して客に購入の決定をさせるという点が大きいのではないかと考える。
 展示会が終了したら反省会が開催される。展示会の目標に照らして、実績がどうであったかが問い直される。そのなかで今後使えるいい体験や全体を高揚させるような体験があった場合にはファックスで各部署にその体験が報告される。
 納品と集金が行われ、次回の展示会に向けて、再販を見込める客についてのアフターを行う。また、伝道できそうな人についてはビデオ・センターを紹介するなどして、「教育過程」に取りこむ工作も展開する。

 以上がブルー展の開催にいたる準備等の概要である。

3.健康展について

 ブルー展と同じような取り組みが地区の統一協会組織主催で健康展として開催される。取り扱われる商品は人参茶、サウナ、浄水器、化粧品等である。ブルー展との相違は商品の仕入れが統一協会の地区の組織の責任で行われており、したがって、表面的にはともかく真実はそれらの商品の売り主が統一協会であるということである。その他の点については大きな相違はない。


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