『統一協会　マインド・コントロールのすべて』　郷路　征記

◆　本　の　紹　介　◆

静岡県立大学看護学部講師　西田公昭　（現立正大学心理学部教授）

　それぞれの宗教団体を対象にして、そのマインド・コントロールの実態を紹介した書物も多く出版されている。最も多いのは、やはり統一教会に関するものである。その教団の最近の活動については『「神の国」の崩壊−統一教会報道全記録』（有田芳生　教育史料出版会　1997）に詳しいが、マインド・コントロールの側面に焦点を当てたものも何冊かある。元信者、牧師、弁護士など、異なる立場からの観察や主張を比べてみるのも興味深い。
　『統一協会−マインド・コントロールのすべて』（郷路征記　教育史料出版会　1994）は、霊感商法、合同結婚の無効性など、マインド・コントロールの違法性を真正面から法廷で訴え続けてきた弁護士によって著された。元信者への精力的かつ丹念な面接調査に基づいた著作であり、統一協会の教化の手法を具体的に説明している。

【現代のエスプリ369号（至文堂）より】