統一教会に3000万支払い命令
札幌地裁判決 元信者の賠償請求認める
宗教団体とは知らされないまま、世界基督教統一神霊協会(統一教会)に入会させられたとして、 道内で勧誘された元信者の女性二十人が、統一教会などを相手取り、献金の返還や慰謝料など総額 約九千百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十九日、札幌地裁であった。
佐藤陽一裁判長は「統一教会の入教、献金などの勧誘は、財産の収奪や無償の労役の享受などの 不当な目的に基づく、社会的相当性の範囲を逸脱した違法な行為」と認定、統一教会に対し、総額 約三千万円を支払うよう命じた。一部の請求については、統一教会の入会期間などを考慮して棄却 された。
同様の訴訟は、七地裁・支部で提訴されており、元信者の勝訴判決は今回が二件目。原告代理人 の郷路征記弁護士は「統一教会の勧誘行為が、憲法が定めた信教の自由を侵害していると言ったに 等しい部分があり、前例のないすばらしい判決だ」としている。
判決などによると、原告らは親類や友人らに勧誘され、統一教会と知らされないまま、ビデオの 学習やセミナーに参加。教えを信じるようになり、つぼや印鑑などの物品販売や信者の勧誘行為を 行うなどした。
判決に先立ち、佐藤裁判長は「一次提訴から十四年が経過、長期間の審理になったことは、さま ざまな原因があるとはいえ、裁判所が職責を全うしていないとの批判を甘受せざるをえない」との 異例のコメントをした。
統一教会広報部は「偏見に基づいた不当な判決であり、現信者らに対する冒とくと言わざるを得 ず、直ちに控訴したい」とのコメントを出した。
[讀賣新聞 2001年6月29日 夕刊]