統一協会組織論・準備書面(34)

一 宗教団体

 宗教法人法第二条は次のとおり宗教団体について規定している。
 この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。

 一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
 二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体

二 全国しあわせサークル連絡協議会

1 団体性
 全国しあわせサークル連絡協議会(以下「連絡協議会」という)は、構成員の宗教的信念の同一性・特にメシアである文鮮明への絶対的帰依とカイン・アベルの教えの呪縛によって、きわめて強固な組織的統一と行動の統制を実現している。団体内部には多段階に及ぶ秩序だった階層構造が存在し、構成員の異動に関わらず団体としての同一性を維持している。単に信者が自主的に集合したというものではない。

2 宗教団体性
 連絡協議会は「伝道」活動とその後の教育によって統一協会の教義=統一原理をひろめている。毎週の聖日礼拝を施設的にも人的にも連絡協議会内部で行い、統一協会の祝日をその内部で祝い、統一協会の定める各種の儀式を行っている。マイクロ隊の活動や伝道機動隊の活動、聖日における責任者の説教やマザーの「牧会」活動など全ての活動を通じて「信者」を「教化育成」している。
 そして、連絡協議会の下部組織は各文化センターや各ホーム等に簡易であるとしても礼拝の施設を有している。その全国組織である連絡協議会はそれらを包摂する団体である。
 したがって、連絡協議会は宗教団体性を有している。

3 非宗教団体性
 連絡協議会は全国的に統一して、地上天国実現や、万物復帰の教えなど統一原理の実現を目指す活動=統一運動を実践している団体である。したがって、その活動は、文鮮明の推進する統一運動全体、政治活動、思想教育活動、経済活動その他に及ぶ。
 であるから、連絡協議会は宗教法人法が規定している宗教団体の活動の枠内におさまらない活動も行っている。これを連絡協議会の非宗教団体性と名付ける。

4 その理由
 連絡協議会が宗教団体性と非宗教団体性を兼ね備えているのは、統一協会の教義=統一原理の故である。統一原理は経済活動を全人類の、したがって、当然統一協会員の当面の義務と課したり、サタンから主権を奪って神主権の国へ=地上天国の実現などの政治的課題も教義の内容としている。したがって、その教義の実践をする団体は政治活動や経済活動をしないわけにはいかないのである。

5 連絡協議会=統一協会
 しかし、それらの諸活動は、会員一人一人の「宗教」的目標として設定されている「個性完成」を目指す活動としても位置づけられており、「宗教」的教義である統一原理の実践としても提起されているので、連絡協議会の性格の中核は「宗教」団体としての性格なのである。
 以上の考察、特に連絡協議会が、組織として統一協会の宗教活動を自足的に行っていることから明らかなとおり、連絡協議会は統一協会そのものなのである。
 本件訴訟の半ば以降になって、統一協会が自己(以下に述べる非公然部分)に対して訴訟対策上つけた名前が全国しあわせサークル連絡協議会なのである。
 本件訴訟で被告統一協会が申請した証人達の多くが、連絡協議会の名前すら証人として出廷するための打ち合わせの時点で初めて知らされていることは、右事実の反映である。

三 公然組織と非公然組織

1 統一協会の法逸脱性
 連絡協議会=統一協会が全国的に展開している経済活動が宗教法人法上許されないものであることはすでに準備書面で詳述したとおりである(原告準備書面(32))。
 ビデオセンターによる「布教」活動についてさえ、東京都は宗教法人法上許されない営利活動に当たると指摘したというのである(小柳陳述書・乙ハ第二三号証四〇頁)から、連絡協議会=統一協会の行っていた霊感商法、呉服展、CB展、絵画展、健康展などの物品販売活動が宗教法人法上許されないものであることは明らかである。
 宗教法人法に違反するからといって、連絡協議会=統一協会は物品の販売活動等をやめるわけにはいかない。教義上も実態としても連絡協議会=統一協会は「宗教」の要素によって強められた経済的収奪組織だからである。

2 非公然組織へ
 その矛盾を解決するために連絡協議会=統一協会が選択した道は、非公然組織化であった。
 だから、連絡協議会=統一協会は「小売業」であるといいながら、電話を電話帳に掲載していないし、看板も出していない。拠点たる場所についても文化センターなどと積極的な偽装をするのである。

3 公然組織の必要性
 非公然組織だけでは活動は進まない。公然たる活動も必要だからである。また、社会に対して偽装も必要である。そこで、連絡協議会=統一協会はその組織の一部を「教会」として公然化し、或いはすでに存在していた「教会」から違法な活動分野を非公然部分に移行して、その「教会」では宗教法人法を順守して活動するようにして、「当法人は営利活動を一切行っておりません。」と偽装しているのである。

4 非公然組織と公然組織の関係
 連絡協議会=統一協会においては、公然組織と非公然組織は一体のものであって、組織内部の役割分担にすぎない。  政治組織である勝共連合などは、政治部門での公然組織であるが、そこに独自の実態があるのではなく、あったとしてもわずかであって、活動の大部分は連絡協議会=統一協会が担っているのである。
 経済組織であるハッピーワールドなどは経済部門での公然組織であるが、その販売活動の大部分は連絡協議会=統一協会が担っているのである。
 その他殆どの公然組織との関係で、同様な関係が成りたっていると考えられる。

四 結論

 連絡協議会=統一協会なのであるから、連絡協議会の活動に統一協会が責任を負うのは当然のことである。

以上


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