取 扱 例 |
1 むち打ちの事例
(1) 主婦
獲得賠償総額 457万円(除、治療費)
@ 自賠責後遺障害認定
自賠責の後遺障害等級の請求を私が代理して行った。病院の診断書には、傷病名として頚部外傷性症候群、腰部外傷性症候群、自覚症状として頚の痛み、めまい、他覚症状として頚の後方の感覚障害、頚の筋の硬直という記載があったのみである。(後遺症診断書はこちら)この記載内容でも資料添付によって、14級9号に該当するとの認定を受けることができた。
A 賠償請求・訴訟
タクシーが方向転換をして直進中の被害者運転車両の左前部に衝突。争点は過失相殺。加害者側は、全く被害者側が悪いという判断で、原告の請求に対して反訴を提起して、137万円を支払えと請求してきた。原告の請求は、既払いの治療費と自賠責の後遺障害保険金合計194万円を控除して328万円。
過失相殺に関する争いがあったため、相手方タクシーの運転手及び被害者本人の尋問を行った。それを受けて裁判所が提示した和解案は、当方の過失ゼロ、その上で早期解決のため300万円を支払えという内容であった。その和解案を受けて、更に交渉を重ねて、319万9000円の支払いを受けるということで和解した。ほぼ請求通りの和解ができた(差額は約8万円)のは尋問の成功と、被害者本人が詳細な日記を書いてくれていたので症状の経過やその苦しみがよく裁判官にも理解されたためであると思われる。
(2) 男性 会社員
獲得賠償総額 599万円(除、治療費)
@ 自賠責後遺障害認定
後遺障害診断書には自覚症状として、「頑固な肩こりと腰部可動痛、右4、5指の痺れ」と記載。他覚症状の欄に「僧帽筋の硬結、他覚的神経障害なし、後記のごとく両握力の著しい低下が見られるが、日常行動から正しい数値とは思われない(計測時の作為が推定される)」という注意書きがあった。今後の見通しの欄に、「肩こり腰痛は緩解(良くなること)の可能性あるも、右4,5指の痺れは不変と推定される」との記載があった。
このような記載でも資料を作成して提出することによって、14級9号の認定がされた。
A 賠償請求・紛争処理センター
損害賠償請求は既払金409万円(既払金額が大きいのは休業補償が支払われていたため。)を差し引いて319万円であった。それに対して相手方が最終的に行ってきた提案が210万円であり、その差額が109万円あった。紛争処理センターの担当弁護士からの和解案があって、285万円の支払いで和解した(請求額との差額は34万円)。この件は追突事故だったので過失相殺の問題はなく、休業補償と逸失利益と障害の慰藉料が大きな争点となった事件で、逸失利益について、勤務会社から休業による損害の詳細な明細書が提出されたため、それを基本として解決をすることができた。
(3) 男性 会社員
獲得賠償総額 475万円(除、治療費)
@ 自賠責後遺障害認定
後遺障害診断書には、自覚症状の欄に、「頚部痛(しめつけられる)右2、3指痺れ痛み、右臀部から足へ突っ張る感じ、眼精疲労、右足部1、2趾痺れ。」、他覚症状および検査結果の欄には、「知覚、反射、筋力正常。MRにてC4/6にヘルニア」という記載のみ。これについても資料を整えて請求することによって、頚部の障害が14級9号、腰部の障害が14級9号とされて併合14級9号であった。
A 賠償請求
請求金額は既払金を除いて427万5050円。被告側は原告にも過失があると過失相殺を主張した。裁判所は過失相殺を否定して、360万円の和解案を提示。それを基礎に更に交渉して400万円で和解した(請求額との差は27万円)。
(4) 主婦
獲得賠償総額 576万円(除、治療費)
@ 自賠責後遺障害認定
自賠責後遺症診断書は自覚症状の欄に「後頚部痛」との記載。他覚症状および検査結果の所に「頚部痛あり、神経所見なし、他覚所見なし」との記載。今後の見通しについて「自覚症状のみ残存しており、これに関しての見通しは不明」というもの。これについても資料を補完して請求して14級9号の認定を得た。
A 賠償請求・訴訟
裁判所に対して既払金の外459万2487円の請求訴訟を起こした。相手方は過失相殺があると主張して争ってきた。その他にも主婦の休業損害、慰藉料について争ってきた。裁判所は休業損害を約50万円減額した(アルバイト代を加味せず)のと、過失相殺が5%あるという考え方で、370万円の和解案を提示。それに対して更に交渉を重ねて相手方と400万円の支払いで和解することで合意した(請求との差額 59万円)。
(5) 現在進行中・異議申立が認容された件が2件
以上の外、自賠責の後遺障害認定が終わって裁判準備中のものが4件ある。1件は自賠責後遺障害保険金請求が後遺障害非該当で否定されたのに対して、異議の申立をして14級9号が認定されたもの、1件は14級9号の認定に異議の申立てをして12級13号が認定されたものである。2件は14級9号が認定された。
裁判中のものが1件ある。
2 死亡事例
(1) 男性 団体職員
獲得賠償総額 1億3148万円(除、治療費)
@ 自賠責死亡保険金請求
交通事故発生後、死亡したのが11ヶ月後で、当初救急救命センターに入院し、その後3つの病院に入通院を繰り返していたため、保険会社から事故と死亡との間の因果関係が争われた。
自賠責の死亡保険金の請求に際して、積み上げると18pもあるカルテを検討して、症状の流れが明確にわかるような診断書の作成を各病院にお願いして取得することができた。そして何よりも重要だったのは、この件では解剖が行われていて死因が明確に特定されていたことである。これがなければ死亡との因果関係を争われて、その立証に相当な困難が想定された。自賠責で死亡保険金が支払われた。
A 賠償請求訴訟
既払金を除いて1億0846万円の損害賠償請求を提起。主な争点は
1.過失相殺:原告主張が0 被告主張が2割
2.定期昇給を認めるか、認めないかという点であった。
保険会社の和解案は既払金を除いて4240万円を支払うというものであった。それに対して裁判所の和解案は既払金の外9500万円を支払えというもの。その理由は原告側に過失を1割認めるということであった。その和解案をベースに更に資料を整えて交渉をした結果、1億円を支払うという和解が成立した(請求額との差額は846万円)。
3 高次脳機能障害の事例
(1) 男性 会社員
獲得賠償総額 9174万円(除、治療費)
@ 自賠責請求
脳挫傷、意識不明の重体。第1に救急救命センターに入院。数日後、意識戻る。第2に脳神経外科に転院。治療終了と言われたが、更なる治療を求めて第3の病院へ。リハビリ後、治療はもうないと言われる。第2の病院の医師は記憶障害が若干ある程度と評価して、その内容の後遺症診断書を作成。私が依頼を受けてから、第3の病院の医師に第1の救急救命センターの時のMRI画像を見てもらったところ、「びまん性軸索損傷、高度脳機能障害、記憶障害、注意障害、情動障害等の高次脳機能障害を認める」と後遺障害診断書に記載された。医師の意見書には、「就労能力がなく労務不可能である。」と記載された。
それで自賠責請求を行ったところ、車の運転が従前どおりできること等も理由に自賠責5級2号、他の障害とも併合して4級という認定であった。第2の病院の後遺症診断書では等級はずっと低いものになったことは間違いない。
A 賠償請求・訴訟
訴訟を提起。労働能力喪失100%を主張し、介護料として3029万円を請求した。既払金充当後の損害賠償金額は1億0574万円、介護料を除けば7542万円であった。この件は労働能力喪失100%を立証するために努力を尽くした。3つの病院の三宅式記銘力検査や長谷川式痴呆検査スケール、ミニメンタルステート、前頭葉機能検査、仮名ひろいテスト等々の検査結果を、検査の内容そのものから勉強した上で、評価し分析した。更に、本人がボランティアで作業奉仕をしていたところの関係者に証言してもらって、労務ができる状態ではないことを立証した。
相手方は過失相殺を45%と主張していた。労働能力喪失割合は79%との主張であった。それに対して裁判所は当方の過失はゼロ、労働力の喪失は100%を認めた。介護料については本人の日常動作が自立していることを理由に認めないで、慰藉料で考慮するとした。その結果、既払い分の他、6000万円を支払えという和解案を提示してきた。それに対して更に資料を整えて請求をした結果、既払金の他7000万円を支払うということで和解が成立した(介護料を除いた請求額との差額は542万円)。
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