準備書面(16)

平成16年(ワ)第1440号
損害賠償請求事件
原  告  ○○○○ 外51名
被  告  世界基督教統一神霊協会

準 備 書 面(16)

平成20年6月18日

札幌地方裁判所
     民事3部合議係 御中

原告ら訴訟代理人                  
弁 護 士   郷   路   征   記
弁 護 士   内   田   信   也

目         次


1 はじめに
2 統一協会の非公然組織について
(1) リージョンについて
(2) 教区について
(3) 教域について
  ア 北海道の教域
  イ 中央神奈川教区の教域
  ウ 横浜教域の組織
  エ 横浜南教域(元青年支部)の組織
(4) 区域について
3 宗教法人であることを装うための公然組織
(1) 北海道の公然教会
(2) 中央神奈川教区の公然教会
4 統一協会員に対する経済的収奪活動
(1) 高橋教区長は文鮮明に表彰された
(2) 1996年当時の統一協会の現状
  ア 日本一の借金・中央神奈川教区
  イ 統一協会の借金
(3) 借金の弁済と3年で100億の献金
(4) 霊感商法の復活で
  ア 売れ残りの活用
  イ 協会員の体験談・悪霊を閉じこめるとして販売
  ウ 悪霊を閉じこめることは高橋教区長も認める。
            韓国統一協会との共同が明らか
  エ 高橋教区長、文鮮明に霊感商法の証し・文鮮明は頑張れと
(5) その他の献金・物販等
  ア 教区長が認めているもの
  イ 間断なく押し寄せる摂理
(6)押し寄せる摂理を実行させる方法
  ア 中和新聞が確認しているパウチの存在
  イ 2つのパウチの分析
  ウ 統一協会的自己の維持強化
  エ パウチからも判る、押し寄せる摂理
5 信徒代表は統一協会の役員
6 信徒代表Sはベイグリーンの代表取締役
(1) 中央神奈川教区のベイグリーン
(2) 伝道の契機である物品販売のための公然組織・北海道
7 新規の被収奪者獲得活動
(1) 横浜教域篤伝隊の活動

1 はじめに
 この準備書面では、神奈川統一運動史(以下、「運動史」という。甲第82号証)を分析することによって、統一協会の非公然組織の実体、統一協会員を経済的に収奪している事実及びその霊感商法そのままの手法、統一協会が系統的に新規の収奪対象者を獲得しようとしている事実及びその手法について解明する。
 運動史は統一協会の貴重な内部資料である。発行元は中央神奈川祝福家庭連合会となっているが、内容から判断して統一協会中央神奈川教区作成のものに間違いない。発行された年は2007年以降と判断される(運動史 70頁)。

2 統一協会の非公然組織について
 統一協会の組織は、本部の下に全国に16の地区(リージョンという)があり、リージョンの下に全国72の教区(運動史・62頁 1999年から)があり、その下に360の教域があって、教域の下に区域がある。本部を除いては、いずれも非公然組織である。

(1)リージョンについて
 甲B第470号証の2枚目に聖本愛国特赦路程の達成率の表がある。その中央にある表がリージョン毎の達成率を示している。Rという表示がリージョンを示している。例えば、北海道は第12リージョンであり、中央神奈川教区は統一協会の第2リージョンの下部組織であり、第2リージョンは神奈川県と静岡県を管轄している。
 すべてのリージョンとその管轄地域は以下のとおりである。

第1リージョン(東京都) 
第2リージョン(神奈川県 静岡県) 
第3リージョン(愛知県) 
第4リージョン(石川県 岐阜県 富山県 福井県) 
第5リージョン(京都府 奈良県 三重県 滋賀県) 
第6リージョン(大阪府 和歌山県) 
第7リージョン(兵庫県 岡山県 鳥取県) 
第8リージョン(香川県 愛媛県 徳島県 高知県) 
第9リージョン(広島県 島根県 山口県) 
第10リージョン(福岡県 佐賀県 長崎県) 
第11リージョン(熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県) 
第12リージョン(北海道) 
第13リージョン(青森県 秋田県 岩手県 山形県 宮城県 福島県) 
第14リージョン(群馬県 長野県 新潟県) 
第15リージョン(埼玉県 山梨県 栃木県) 
第16リージョン(千葉県 茨城県) 

(2)教区について
 甲B第470号証の2枚目の教区毎の達成率の表に、達成率の順番で熊本から高知まで全国72の教区の名称が記載されている。第12リージョンの北海道は北北海道、南北海道、東北海道の3つの教区に分けられている(甲B第470号証1枚目の教区別路程実績表も参照)。
 第2リージョンには中央神奈川教区の外に、北神奈川教区、南神奈川教区、静岡教区、浜松教区がある(甲B第470号証の2枚目の教区毎達成率表の中にある教区のうち、神奈川県、静岡県に所在する教区)。
 天宙平和連合創設記念日本12カ都市大会横浜大会が2005年10月13日開催された(運動史 8頁)。その時の様子をまとめたパンフレットが「天宙に翔く真の御父母様」(甲第83号証、運動史 8頁)である(以下、「パンフレット」という。)。このパンフレットには、12カ都市大会の実行委員長として、統一協会会長小山田秀生が掲載されている(パンフレット 11頁)。なお、実行委員会の顧問として全国祝福家庭総連合会長の肩書で劉大行が就任している。運動史の発行元と表示されている中央神奈川の組織の上部団体である。横浜大会の実行委員長は丁鐘植であり、彼は当時の第2リージョン会長である(運動史 31、33頁)。なお、リージョンの会長は全て韓国人である。
 実行副委員長の高橋康二は中央神奈川教区長(運動史 32頁)であり、同Sは北神奈川教区長(パンフレット 12頁)である。そして同Kは南神奈川教区長、同Hは静岡教区長(2006年から北神奈川教区長)、同Sは浜松教区長である。すなわち、この集会は統一協会第2リージョンが組織をあげて取り組んだものである。
 中央神奈川教区の代表婦人部長はTである(運動史 34頁)

(3)教域について
ア 北海道の教域
 北北海道教区は、北東、手稲西、札幌東、札幌北、創成、小樽の6つの教域(構成員の少ないところは、教会とも称する。)に分けられている。北海道全体で教域数は26である(甲B第470号証1枚目、教域別路程実績表)。

イ 中央神奈川教区の教域
 中央神奈川教区は、横浜教域、横浜西教域(運動史 102頁、元天地正教の組織であったが、統一協会に合併されたと記載されている。)、横浜東教域(運動史 95、97頁)、横浜南教域(運動史 105頁)、相模原教域等で構成されている。

ウ 横浜教域の組織
 運動史では横浜教会の組織体制として紹介されている教育部、実践部、篤志家、地域、教会、篤伝隊、そして「友好団体」として紹介されているNCYF、Bay Green(運動史 86〜89頁)などは、中央神奈川教区の横浜教域の組織体制である。以前は、この外に横浜支部があったが、横浜支部はそのまま横浜南教域として独立した(運動史 106頁)。横浜教域の責任者は2000年以降信徒代表Iであり、婦人部長がNである(運動史 35頁)。以下、その内容を説明する。
 地域(運動史 87頁)とは在家信徒、夫の反対が強くなかなか礼拝にもこれない人達が組織されている部署。
 教会(運動史 88頁)は、海外宣教メンバーや本家庭(祝福家庭のこと)、他の協会から移管された人達が組織されている部署。教会の責任者はO教会長(運動史88頁の写真前列右から3番目の人物)である。彼が公認教会である横浜教会を代表するのだが、非公然組織の統一協会の中では横浜教域の下の一つの部署の責任者にすぎない。
 篤志家(運動史 87頁)は、自営業の食口(信者)の部署。ここぞという時の大砲のようなものと幹部は言っているという。大きな献金をさせることのできるところということである。実際に運動史で紹介されている篤志家の中に植木屋さんをやっていた方がいて、その方は1997年に1億円の献金をしている(運動史87頁前列左端の女性とその上部の男性)。

 この時期、1億円の献金を身近なところで体験した元統一協会員F(以下、「訴外F」という。)は、次のとおり述べている。

 働きに行くことになった食口の植木屋さんは、先に婦人が教会につながりその後に旦那さんが教会につながった、祝福も受けている夫婦だった。私が働きに行く1年も前から植木の畑にしていたところを売って献金しようとしていたのに、買い手が決まっていながらなかなか事務的な処理が進んでいなかったのだそうだ。その間、条件不足を補うために祈祷会を開いていたそうである。
 私が働きだしてからというもの、突然滞っていた事務処理が進みだし、1億円を少し越える値段で売れたのである。私が働きだした時期と、事務処理が進み出した時期が近かったのは全くの偶然だとは思うが、中心者は「三つの川(社長と働いていた二人の名字に共通して川という字が使われていただけ)そろって初めて流れ出した。」といって喜んでいた。
 しかし、私はこの機会を通して教会の体質の一つを見たように思っている。それは、教区長が社長の前にしていた態度だ。祈祷条件を教会の礼拝堂で行っていたのだが、そのときには社長夫婦と婦人部のスタッフ全員と教区長も出席していた。その教区長の社長に対する姿勢の低さは、「そんな姿は一度も見たことはないぞ」と思うほどだった。まるで、非原理の世界で行われる取引先の御得意さんの社長に取り入るような姿勢なのである。スタッフのほうも、社長の気持ちが変わらないように家にまで行って礼拝をしたり、対応に必死だったように見える。
 しかし、土地が売れて献金の式が終わると、それまで必死に尽くしていた今までの内容はすべてなくなり、一信者の立場に戻されるのである。教区長の態度も、急激にではないにしても変化していくのがはっきりと分かるほどだった。

 教育部(運動史 86頁)は、ビデオセンター(NCYF=横浜フォーラム)からあがってきたゲストを初級、中級、上級と3段階に分けてトレーニングしていく部署。すなわち、統一協会員にしていく過程の部署である。北海道における教育コースと同じと推測される(平成19年6月5日付準備書面(13)添付別表壮婦に対する入教勧誘・教化課程の内容と特徴参照)。
 友好団体として紹介されているNCYF=横浜フォーラムは篤伝隊等が街頭等から「伝道」して新規チケットを売った人を「鑑定」してコース決定をさせ、ビデオを見せていくビデオセンターである。すなわち、正体を隠して行う「伝道」活動の担当部署である。
 篤伝隊は、篤志家伝道機動隊という。これは前線専門の部隊である。この活動内容については統一協会の対外的活動の中で述べる。

エ 横浜南教域(元青年支部)の組織
 伝道機動隊、実践部(献身者やトレーニングが終わった献身予定者が集められている。)、勤労青年部(当面献身予定のない、働きながら活動をする信者が集められている。)、学生部、ビデオセンターのスタッフ(使うビデオセンターは横浜フォーラムで婦人用のビデオセンターと同じである。)、教育部(新生トレーニングなどのトレーニング)のスタッフという組織体制である。

(4) 区域について
 教域の下の組織は区域である。地域を中心に10家庭(妻が統一協会に入っていれば、1家庭)を単位として組織され、区域長と副区域長がおかれる。例えば、北海道リージョンの南北海道教区の白石厚別教域(甲B第470号証1枚目)は、白石の区域7つと厚別の区域5つによって構成されている(甲B第467、甲B第472号証の1〜3)。白石厚別教域の構成人員数はこの当時で116名である。
 運動史98頁には横浜東教域の第1〜第4区域の統一協会員の写真が掲載されている。

3 宗教法人であることを装うための公然組織
(1) 北海道の公然教会
 釧路、帯広、旭川、苫小牧地方を除く北海道リージョンの、宗教団体であることを装うための公然部分(公認教会)は札幌教会と札幌手稲西教会だけである(甲第83号証)。そのうち札幌手稲西教会は、J・ノースガーデンと呼ばれていた施設であり、統一協会の21日修練会が行われたり(甲B第445号証19頁)、北海道マイクロの司令部がおかれたり(甲B第290号証の2の12頁)、現在の札幌教会を入手するまで札幌教会もおかれていた場所であり、札幌市北区屯田の現在の札幌教会は平成19年5月統一協会が入手したものである(甲第84〜85号証)。

(2) 中央神奈川教区の公然教会
 この地域で宗教団体であることを装うための公然部分は横浜教会、相模原教会である(甲第83号証)。運動史84頁に横浜教会の活動が統一協会の機関誌中和新聞に紹介されている。後述するとおり、ここで紹介されている活動は、非公然組織である統一協会中央神奈川教区横浜教域の活動である。非公然部分の活動を公然と紹介する時などに公然教会がその機能を果たすのである。なお、横浜教会長は中和新聞の紹介とは異なり、前述のとおりM教会長である。統一協会の本体であり、その活動を担うのは、2で明らかにした本部→リージョン→教区→教域→区域という階層的な一体となった組織である。その組織は宗教法人法に違反する大規模な経済活動を推進するためのものであるから公然化できない。そのために、全国各地にイチジクの葉のように公然教会が配置されているのである。

4 統一協会員に対する経済的収奪活動
(1) 高橋教区長は文鮮明に表彰された
 運動史の中心人物は中央神奈川教区長高橋康二(以下、「高橋教区長」という。)である。
 高橋教区長は1973年に統一協会に入り、1982年6000双の合同結婚式に参加している古参幹部である(運動史・84頁)。
 高橋教区長は、1996年7月に教区長に就任し、1998年3月にはKに代わったが、Kのやり方では献金が上がらなかったことから1998年6月、中央神奈川教区長に復活した(運動史 32頁)。
 それ以来ずっと10年も中央神奈川教区長をやっていて、2006年2月5日、天一国指導者大会で日本人初の天一国優秀指導者として表彰されている大功労者である(運動史 67頁)。
 高橋教区長が日本人として初めて表彰された理由を、彼の「神奈川統一運動史発刊にあたって」(運動史 21頁)という文章を分析することによって明らかにする。

(2) 1996年当時の統一協会の現状
ア 日本一の借金・中央神奈川教区
 高橋教区長は、中央神奈川教区は日本一の借金を作った(運動史 21頁)、その額は1996年当時200、毎月5を返済しなければならいという状況であったと述べている(運動史 22頁)。これは、200億円の借金があり、返済しなければならない金額が毎月5億円という意味である。

イ 統一協会の借金
 中央神奈川教区は1996年11月に南米宣教師を全国4200名の5%の200名を出している(運動史 22頁)。清平40修で、文鮮明から「日本は4月までに6000名の宣教師を出すように」と命ぜられ、高橋教区長は中央神奈川教区は300名を出さなければならないのだと考えている(運動史 22頁)。人員を供出するときは日本統一協会全体の5%が中央神奈川教区の責任だったのである。
 それと同じ比率で統一協会の借金を計算すると、当時統一協会全体の借金は4000億円になる。その半分とみても2000億円。2000億円から4000億円の間の巨大な借金が統一協会にあったことは間違いないであろう。

(3)借金の弁済と3年で100億の献金
 ところが、この膨大な借金問題が遅くとも2007年までには解決した(弁済された)と高橋教区長は明言している(運動史 25頁)。
 1996年1月28日、清平の40日修練会の後、日本チームの出発決断式で、高橋教区長は「6月までに100Kします。」と宣言した(運動史 22頁)のだが、それを3年かかったけれども、やり抜いたと述べている(運動史 25頁)。ということは1997年初めから2000年までの3年間に中央神奈川教区で100を献金したということである。ここで言われている100が100万円ということはありえないわけで、そうするとこの間に100億円の献金を中央神奈川教区がやりぬいたということである。200億円の借金を処理しつつ、100億円の献金をやり抜いたということである。
 この時期、統一協会は霊感商法批判によって、一般社会の人々から霊感商法で行ったような経済的な収奪をすることは困難であった。したがって、この借金の弁済と献金は内部の統一協会員を収奪することによって達成したのである。どんなやり方をしたのか?

(4) 霊感商法の復活で
ア 売れ残りの活用
 100をやると決断式で述べた高橋教区長は、その翌日、帰国の日に日本の使命を勝利するにはどうしたらいいかとお祈りを捧げたという。そうしたら啓示が降りたのだという。その啓示は、「帰ったらすぐ○○の感謝祭をやりなさい。」ということであり、その直後に全身が霊動して涙が溢れて、20分も泣き続けていたのだという(運動史 22頁)。
 ここで○○というのはツボのことである。それから始まったのが、霊感商法批判で売れ残っていた古い壷を(甲第86号証)、組織内部に、壷に悪霊を閉じこめることができるという「名目」で売ることであった。これがうまくいったので龍神石=天運石(甲第87〜88号証、丸形と高麗型の2つある)の摂理という全国的な流れになっていったのである。その販売促進のためであろう、映画も作られている(Vシネマ、石シリーズ 運動史 107頁)。

イ 協会員の体験談・悪霊を閉じこめるとして販売
 当時、中央神奈川教区で活動していた訴外Fの体験では、次のとおりであった。

 天運石・龍神石
 清平特別修練会が始まってから、大母様が「天使を壷に入れてあげる」ということで再燃した摂理。神奈川が火付け役なので、天運石と名付けたのも中央神奈川の教区長である。始めは大母様が日本に来て大会をしたとき、過去購入した人達が自分の壷をもってきて、そこに天使を入れてもらうようにしていたが、近年伝道された人達のために、倉庫に眠っていた壷を持ち出し、天使を入れてもらって信者に売るようになった。その後、龍の彫り物が入った高麗型と丸型が登場してからは、その壷のみとなった。壷に入っている天使は、家にいる悪霊や外出したとき着いて来る悪霊を壷に閉じ込めてくれる。閉じ込めた悪霊は壷一杯になるとあふれてくるので、定期的に清平にいって閉じ込めた悪霊を霊界に送らなければならない。現在はミニしかないが、龍神石が出てきた当初、10キロ近い大型のものもあった。お値段は1000万円だったと思う。神奈川にいたリージョン副会長が人事で別の県に行ったとき、そこで同じことをして実績を上げたので、全国に広まることになった。霊石愛好会が復活して、各地で大母様を呼び大会を何度か行っている。献金や伝道が下火になってきたので「日本全体を再び生かすために」という理由で始められたようだ。

ウ 悪霊を閉じこめることは高橋教区長も認める。韓国統一協会との共同が明らか
 霊感商法の商材であり、倉庫に保管されていた壷に再度「商品」としての命を吹き込むことになった、悪霊を壷に閉じこめるというアイデアについて高橋教区長は次のとおり述べている。

 その後、天はとんでもない恵みを与えて下さいました。それは、興進様が○○の奇跡(悪霊を吸収してくださる)を下さったことであります。大母様のお話によれば、「お父様の前でも100を決意表明し、真剣に勝利しようと努力している姿を霊界でご覧になって、『なんとか助けてあげたい』というお気持ちから、○○の奇跡を下さいました。」と言っておられました。その後、○○の感謝祭をやる時は、いつも興進様が来られ、見つめておられた、という霊的な婦人が何人か、確認しておりました(運動史 24頁)。

 悪霊を吸収するという壷の「奇跡」は天国にいるという文鮮明の息子興進(交通事故で死亡)が与えてくれたのだという。その理由は、後述のとおり、高橋教区長が文鮮明の前で、100億円を献金すると約束した(上記文章では、「お父様の前でも100を決意表明し」と表現されている。)からだと言うのだが、悪霊を吸収するという壷の「奇跡」は、清平修練会の霊媒師役である金孝南(大母様と言われている。文鮮明の妻韓鶴子の母洪順愛が「再臨」する人物なのだという。)の発案なのである。

エ 高橋教区長、文鮮明に霊感商法の証し・文鮮明は頑張れと
 その後、高橋教区長は文鮮明の前で「証し」をした(運動史 21頁。文鮮明と高橋教区長の写真が載っている)。「証し」とは統一協会流の体験発表兼決意表明である。
 時は1997年6月6日、第35回万物の日の行事の時、所はイーストガーデン(ニューヨークにある文鮮明の大豪邸)である。
 その内容は以下のとおりである。

 それは、清平で受けた、お父様からの恵みと、○○の感謝祭の内容でした。とり分け○○の奇跡。あるトラックの運転手をしていた夫が居眠り運転をしていて、2m崖下に1回転して転落して、眼を覚ましたのですが、何処も無傷だったものですからビックリして、「早く、家に孵らなくちゃ(原文ママ)」と思わせられて、急いで帰って、部屋に入ってみたら、なんとタンスの上に置いてあった○○が、畳の上に落ちて、真っ二つに割れていたのでした。とお話しした途端、それまで前方を向いておられたお父様が、「それは本当か!?」と急に首を私の方に向けられ、お父様と目が合ったのであります。感激の一瞬でありました。
 続けて、その夫が妻に、「この○○は、どこから求めてきたのか。それと同じものを、すぐ買ってきなさい」と言って、妻は、再び、求めに来られたのであります、という恵みの証しと、ある夫婦が、(T)(原文では○だが(T)と表示する。以下、同様の表示とする。)を授かり、2階の床の間に置いてあったですが、それを夫が見て、「これは、きれいだね。ところでいくらしたか?」と聞かれたので、妻は「○○ですと」答えたら、夫は、「ええ!そんなにするのか!」と怒って2階の窓から投げ捨て、その(T)をバラバラにしてしまったのです。そうしたら、1ヵ月後に息子さんが事故で霊界にいってしまったのです。その奥さんは、息子さんの命が短命だから、その守りの為に、と思って、授かったのですが、それが壊されてしまったので、守りがなくなって、運命通り亡くなってしまったのです。という災いの証しも、真剣に聞いて下さいました(運動史 24頁)。

 上記で「タンスの上に置いてあった○○」とは龍神石=天運石と名付けた大理石の壷の事であり、値段は小が250万円、中が500万円、大は1000万円であった。(T)とは、同じく霊感商法の商材であった多宝塔のことである。「授かり」とは統一協会用語で、我々の表現では「買わせた」ことであり、妻が答えた「○○です。」とは「1200万円」である。すなわち、この妻は夫に無断で多宝塔を1200万円で統一協会から買ったのである。夫が怒って、その多宝塔を壊してしまったところ、息子が死んでしまったということなのである。

 高橋教区長の文鮮明に対する「証し」の内容は、霊感商法そのものである。高橋教区長は前者を「恵みの証し」、後者を「災いの証し」と言っているが、現実の販売の場では、「買えば恵みがある、買わなければ災いがある。」というように利用されるのであるから、脅しが基本に必ずあるのである。
 文鮮明はその報告に喜んでいる。高橋教区長が上記のような霊感商法によって「11月29日までに100やります。」と決意表明をしたら、それまで2時間半も、日本が責任を果たさないこと(献金がノルマどおり達成されないこと)に怒り狂っていた文鮮明が(運動史 23頁)、うんうんとうなずいて、石井会長(統一協会)に「頑張るんだよ」と笑顔で励ましたというのである(運動史 24頁)。文鮮明が日本統一協会の行う経済的収奪活動を直接命令していることが明らかである。

(5) その他の献金・物販等
ア 教区長が認めているもの
 それから中央神奈川教区は、8年間トップクラスの飛躍的な実績をあげたのだという(運動史 24〜25頁)。
 次のような「奇跡や恵み」が記載されている(番号は原告代理人が付した。)

@ 47歳で癌の宣告を受け、夫を幼い2人の子供を抱え、死を覚悟した姉妹が、生命がけで、お父さんに訴え、2冊の訓教本を授かることで、癌細胞がみるみる小さくなり、完治するに至ったこと。
A 憎しみや、恨みが高じて、「離婚するしかない」とまで追い込まれていた夫婦が、借金して総生畜を納めた時、今までの関係が嘘のように蕩減が晴れて、立派な祝福家庭になった事。
B 老後の為に、と残しておいた年金や、保険をくずして精誠条件を立てる時、見事に、親子の怨讐がとかれた事。
C 子供の教育の為に、と残しておいたものを天を愛する心情で捧げる時、課題の子供の登校拒否が治った事。
D間断なく、押しよせる摂理の波に、いつも感謝して歩む食口たち(運動史 25頁)。

 @の47歳で癌の宣告を受けたという人のことは、その人が生命がけで父親から金を出させて一冊3000万円の聖本を2冊買ったから、癌が完治したと言うことである。「聖本は3000万円で買うものではない。日本列島全体を売ってでも勝利しなければならない」(甲B第468号証)ものだという。癌によって死の恐怖にさらされている人が、治ると信じさせられて買わされたのであろう。しかし単なる「本」が癌を治すことなど科学的にはあり得ない。
 金額が6000万円もの金を、訳のわからない2冊の本のために、親族が出すことは通常ありえないから、信者が無断で親族の金に手をつけることがおこるのである。
 統一協会員である訴外Kは夫の預金2623万4791円を勝手に引き出して統一協会に渡して夫から離婚されている(札幌家庭裁判所平成17年(ホ)第162号)。なお、訴外Kは上記の横領行為の前には実娘から250万円の借金をしている。合計すると約3000万円となる。そして同訴外人の荷物の中には聖本が1冊残されていた。

 Aの離婚するしかない状態だった夫婦が納めた「総生畜」とは「総生畜解怨献金」のことで金額は210万円である。この夫婦のように、「借金」しても信者は献金をしなければならないのである。
 今、脱会する壮婦の信者の多くは多額の借金を負わされている。原告Oは統一協会に献金するために借り入れた債務約624万円外の債務によって自己破産している(札幌地方裁判所(フ)第6112号)。

 Bのように、老後のための蓄えも献金しなければならないのである。統一協会員訴外Oは認知症の義母の老後資金800万円を無断で統一協会に献金し、夫から離婚されている(札幌家庭裁判所平成18年(家ホ)第166号)。

 Cのとおり、子供の教育のために残して置いた財産も献金しなければならないのである。

 Dのとおり、文鮮明からの献金要求(それを、摂理という。)は「間断なく、押し寄せる」のである。統一協会員は、どんな理不尽で多額の連続した献金要求に対しても、感謝して献金しなければならないのである。

イ 間断なく押し寄せる摂理
 区域別摂理K台帳(甲B472 1〜3)を見ると、1999年から2000年にかけて、精誠献金が160万円、総生蓄解怨献金が210万円、先祖祝福献金が280万円で、これらが義務献金とされていた。その後、愛天愛国献金が300万円(運動史 62頁)、聖本の摂理が3000万円である(甲B第468号証)。
 運動史の中に根拠があるもので、我々の知識で、現在解明できるものだけで、次のとおりである。

 2004年7月〜・麗水のため(リゾート地の土地購入のため)の献金・85万円 (運動史 66頁・感謝状)
 2004年・創立50周年のための献金・50万円 (運動史 66頁・感謝状)
 2004年10月〜12月末・平和王国創建のための献金・300万 (運動史 66頁・功労牌)
 2005年2月〜4月8日・天正宮入館のための献金・100万 (運動史 67頁・バッチ)
 2005年9月頃〜12月頃・本殿聖地入城に際しての献金(天正宮に名前が刻まれる摂理)・140万(3家族を祝福することが目標とされていたので、合計すると420万円) (運動史 67頁・感謝状)
 その他、信者に対して物品の交付が行われているものは、献金を伴っていると考えていいようである。
 真の御父母様からの賜物とされているチマチョゴリ(運動史 40頁)は1億円以上の献金をしたことに対して「下賜」されたものである。「真のお父様80歳御聖誕を記念して、功労者に授与」(運動史 62頁)、「真のお母様御還暦メダル」(運動史 64頁)、「氏族復帰を熱心に活動し、精誠を尽くした家庭に贈られた天一国バッチ」(運動史 65頁)、「平和理想王国創建における母国使命の為に精誠を尽くされた家庭に与えられる公民メダル」(運動史 70頁)などは当然献金がともなっていると考えられる(公民メダルについては、そのいずれかは不明だが1個が650万円というものがあったという。)。
 運動史は公刊される物であるから、すべての献金の痕跡が探せるものではない。例えば、天聖経(聖本類似の本の購入)430万円、天一国創建献金330万円、翼献金(文鮮明にヘリコプター工場を)30万円、氏族総生蓄解怨献金210万円などがあるようである。

(6)押し寄せる摂理を実行させる方法
ア 中和新聞が確認しているパウチの存在
 運動史には、2000年11月15日付の中和新聞が載っている(運動史 84頁)。中和新聞は統一協会の機関誌である。この中和新聞で、中央神奈川教区横浜教域(公然部分である横浜教会の活動紹介の形をとっている。)の紹介がされている。その中で、「恩恵伝授式」について記載されている。文鮮明の説教などを記載した文書をラミネートして信者に渡して、信者から大好評を受けているといった内容である。
 恩恵伝授式とは出発決断式のことである。出発決断式は統一協会流「総決起集会」である。献金や物販の目標を確認し、その達成のために信者にハッパをかける場である。出発決断式は北海道などでは月1回だが、中央神奈川教区横浜教域では月2回やり続けて信者にハッパをかけまくっている(運動史 34頁では月2度の決断式、82頁では毎月2回、8年間続けてきた出発決断式、84頁には月2回の全体集会と表現されている。82頁の「2007年新春出発決断式」という横断幕が写っている写真について、天運伝授式と解説されている。)。信者にハッパをかけまくる手段として文鮮明の「み言」などがラミネートされたものが渡されているのである。それらが運動史に「記念パウチ集」として掲載されている(運動史 121〜125頁)。教区長が協会員1人1人に握手しながら渡すのであるという。

イ 2つのパウチの分析
 運動史の記念パウチ集に掲載されている「パウチ」の現物がある。Aは2005年2月28日の50日路程中央、北神奈川合同中間決断式で渡されたものである。天宙統一平和の王戴冠式と題するもので(甲第89号証)、運動史では122頁、下段の中央に掲載されている。Bは2005年9月5日の中央、北神奈川教区合同9月度出発式で渡されたもので、平和王即位1周年記念(甲第90号証)と題するものである。運動史では123頁の中段の中央に掲載されている。

 その内容は次のとおりである(番号は原告代理人が付した)。

Aについて
@ 「 天宙統一平和の王戴冠式」・・・神様の創造の中にあった、「王」であり、今日までの「王」とは、次元が全く違う。時間、空間、宗教、国を越えた「平和王」→全く(サ)の存在を認めない勝利!
A 「天宙統一平和の王」の勝利を相続する50日路程

(ア)蕩減革命・・・完全に(サ)を断ち切る!→血統を守り、所有権を完全に神様に返す。アナニアと同じ過ちをしてはならない。

(イ)良心革命・・・「良心の呵責は、神様が生きておられる証だよ。」→み言の如くなっていない私を心からの悔い改めをする。

(ウ)心情革命・・・神様の心と一つになる!→最高に神様を愛する(自分を愛する以上に、自分の愛する者を愛する以上に神様と真のご父母様を愛すること)

B 父(神様)が、”(日)頼むぞ!勝利を祈っているよ!”と必死に叫んでおられる時に、「私は知らない」と言って、知らんふりをする息子、娘となってはならない!天の為に生命がけで尽くした精誠の食口は、神様の姓名録に記録される。お父様が保証して下さる。

C 「天命」を受けた祝福家庭→「祝福」を受けるか、「審判」を受けるかどちらかだよ!これから4年間、先祖の霊が降りてくる。地上の祝福家庭は兄として、弟(先祖の霊人)に対し恥ずかしい生活をしてはならない。真のご父母様の前に絶対信仰、絶対愛、絶対服従で侍り、天命を果たすんだよ!兄の姿勢を見て霊界は強烈に協助する!

 これは、2005年2月18日〜4月8日までの50日路程(日程を組んで、献金や物販の目標を達成させるための集中的な取り組みをすることを、路程という。)のための決断式で渡されたもの。目標金額は1人100万円、達成するとバッチ(運動史 37頁)が与えられた。
 以下、パウチの内容を説明する。

@について
 2005年2月14日、統一協会のダミー組織、世界平和超宗教超国家連合の第5回世界サミットにおいて180か国から現元国家元首らが参加する中、文鮮明夫妻が、「天宙(天と地を合わせた名称)統一平和の王」に推戴され、その戴冠式が行われたとされている。
 平和の王は堕落していない王であり、今日までの堕落人間である王とは次元が異なるのだとその意義が強調されている。
Aについて
 文鮮明のその勝利を個々の統一協会員が受け継ぐために献金をしなければならないのである。「所有権を完全に神様に返す」とは、この世のお金はサタンの所有なのであるが、それを統一協会に献金することによって、神様の所有にしなければならないということであり、アナニアの過ちとは、嘘をついて全ての所持金を神様に捧げなかったことで罰せられたと、聖書のアナニアの物語を改変して教育したうえ、信者の所持金全額を献金させるために、その物語を利用しているのである。
Bについて
 神様自身が、献金を勝利した信者の姓名を記録するといわれている。
Cについて
 統一協会員が文鮮明に対して絶対信仰で侍り、頑張ると霊界がそれを助けるとされている。「霊人に対し恥ずかしい生活をしてはならない」とか「絶対信仰、絶対愛、絶対服従」など、不可能なことが要求されているので、天命を受けた祝福家庭の人達は「審判」に怯えざるを得ないのである。

Bについて
@ 本殿聖地(本宮)=:天宙史に永遠に刻まれる栄光の聖地!!
 ’06年1月天地人真の父母様が、平和王としてご入場!
A 内外の精誠
 内的:神様と真のご父母様を最高に愛した条件
 外的:氏族の3家庭を祝福し、(祝)(K)を以って、氏族同参の条件
 精誠の功臣として、本宮に夫婦名が永遠に刻銘されます!
B 後天時代
 「後天時代」は、皆さんの精誠と汗が実る時です!
 霊界の四大聖賢はもちろん、数千年の善なる先祖たちが、地上に再臨して、我々の摂理歴史に同参しているんだよ!
 → 霊肉合同作戦で、祝福家庭としての責任を果たしましょう。

 これは、天正宮に名前を刻むための140万円(420万円目標)の摂理のためのパウチである(運動史 67頁)。天正宮に文鮮明が2006年1月入居する事になったようである。それを利用しての献金集めである。
 以下、その内容を説明する。

@について
 本殿聖地(本宮)は天正宮とも呼び、清平に建てられた宮殿のような建物のことである(甲第90号証表面左下の建物)。文鮮明夫妻の聖殿であり、神様が住む場所だとされている。
 天宙史とは霊界と地上が始まってからの歴史のことを言い、天正宮の特別な位置づけを強調しているのである。なお、統一協会において「聖地」とは、文鮮明等が自分にゆかりのある土地等を聖地と勝手に定めているにすぎない。札幌の円山公園内にも聖地がある。
 文鮮明は、2003年2月6日、「天宙・天地真の父母様平和統一祝福家庭王即位式」を行った。これによって神様と真の父母が天地人父母様となり、天の王権が現れることができるようになったのだそうである。よって、文鮮明夫婦は天地人真のお父母様となったとのだとして、信者にこう呼ばせている。
 平和の王については、上記Aについての記載で説明したとおり。
Aについて
 氏族とは信者の親族のことを言う。親族3家庭、すなわち3組の夫婦を祝福しなければならない。原則としては、伝道して統一協会員にして祝福(文鮮明の手による合同結婚式)をうけさせるべきなのであるが、限られた期間に3組の親族の家庭を統一協会員にすることなどは不可能であるから、「聖酒」を飲ませるだけでいいとされる。そうすると、(祝)(K)=祝福義務献金を統一協会に支払わなければならないことになる。1家庭140万円で3家庭分420万円が各人の目標となる。その献金をさせることによって、親族をも天正宮の建立に参画させることになると言うのである。
 天正宮は、霊界でも同じ場所に建っているとされており、霊界では、永遠に存続すると言われており、そこに名前が刻まれるというのである。
Bについて
 2004年5月5日、蕩減復帰歴史の先天時代が終わり、真の父母を中心とした再創造摂理が始まった。すべてのものが完成時代に入っていくとされている。
 霊界の四大聖賢とは、イエス、釈迦牟尼、マホメット、孔子のことをいう。数千年の善なる先祖たちとは100%善ではなく、悪よりも善の部分が多い先祖達のことで、この部分的善霊達と地上の後孫が共に献金のために働くことを「霊肉合同作戦」という。
 なお、部分的善霊は、悪の部分があるため、結局全員お金を払って清平で解怨しなければならないのである。

ウ 統一協会的自己の維持強化
 以上のとおり、献金を強要する方法は、理想社会がすぐに実現するかのような大きな偽りの希望を与え続けることであり、清平の修練会などで霊の存在を「体感」させた信者達に、霊人達が助けているから不可能なことなどないというウソを信じさせて過大な目標にとりくませ、そのうえで生命がけでやらないと「審判」を受けることになるぞと脅すことなのである。それは統一協会的人格を維持強化するための教育の一環に外ならない(平成19年6月5日付準備書面(13)添付別表、本来の自己が統一協会的自己に変化させられ、それが維持される理由参照)。
 即ち、違法な「伝道」によって形成した統一協会的自己を維持強化し、それに働きかけることによって、統一協会員に献金をさせ、物を買わせ、統一協会は多額の借金を返済し、文鮮明に献金をおこなったのである。

 以下、運動史121頁から125頁の記念パウチの中で、献金や物販に関わっていると思われるものを指摘する。

エ パウチからも判る、押し寄せる摂理
@ ヨイドの問題・ヨイド奪還・2003年12月8日(121頁中段中央)、2004年2月16日(121頁下段左)
A 龍神石・2004年2月16日(121頁下段左)、同年4月11日(122頁中段左)、2005年1月17日(122頁下段左)、2005年5月16日(123頁上段左)、2006年2月8日(124頁上段右)、2006年4月17日(124頁中段右)、2007年1月9日(125頁下段中央)
B 麗水の85K・2004年7月5日(121頁下段右)、2004年7月20日(122頁上段右)
C ヘリコプター・2004年4月20日(122頁上段右)、9月度出発決断式(122頁上段中央)
D 平和の王の勝利を相続する50日路程・2005年2月28日(122頁下段中央)
F 祈願書・2005年5月16日(123頁上段左)、2005年12月19日(124頁上段左)、2006年2月8日(124頁上段右)、2006年4月3日(124頁中段中)、2006年4月17日(124頁中段右)
G 本殿聖地・2005年9月5日(123頁中段中)、2005年9月20日(123頁中段右)、2006年3月6日(124頁中段左)、
H 入宮式参席精誠感謝(入籍特別?)献金・2006年5月8日(124頁下段左)、2006年6月5日(124頁下段中)、2006年6月19日(124頁下段右)、2006年7月3日(125頁上段左)、2006年7月31日(125頁上段右)、2006年9月4日(125頁中段左)
I 平和基金1万$・2006年10月23日(125頁中段右)、2006年12月18日(125頁下段右)

5 信徒代表は統一協会の役員
 統一協会は商行為は何もしていない、現在は信徒会という信者組織が、以前は全国しあわせサークル連合会が統一協会とは関係なく勝手にやってることだと主張しているが、それを否定する組織体制が明らかになった。運動史には全国祝福家庭連合会歴代会長(韓国人 運動史 29頁)、統一協会の歴代会長(運動史 30頁)、第2リージョンの歴代会長(韓国人 運動史 31頁)が載っており、中央神奈川教区の歴代教区長が載っている(運動史 32頁)。この下に歴代信徒代表が載っている。中央神奈川教区の体制は高橋康二が教区長で、Tが代表婦人部長なのだが(運動史 34頁)、運動史によればこの下に信徒代表というポストが統一協会のポストとしてあるのである。2000年以降の信徒代表はIである(運動史 32頁)。Iは「祝賀メッセージ」(運動史 34頁)ではT代表婦人部長の後、婦人部長Nの前に前任者であるNとともに信徒代表として掲載されている(運動史 35頁)。Nは横浜教域の婦人部長であり、信徒代表が記載されている位置は、序列的には、横浜教域長が記載されるべき位置である。
 運動史82頁に「横浜教会」の活動紹介がある。そこに各教域責任者による決意表明の写真が掲載されている。TF長というのは教区の代表婦人部長Tのこと、MK長とは横浜南教域長のこと、NK長とは横浜西教域長のこと、SK長とは横浜東教域長のことで、IK長とは横浜教域長=信徒代表のことである。他の教域長は横浜以外の教域長のことであろう。
 運動史によれば1996年から2000年まで、Nが信徒代表を務めている。Nは、この運動史が発刊された時期には横浜西教域の教域長の任にある(運動史 102頁)。横浜西教域というのは統一協会の組織そのもので、中央神奈川教区の信徒代表であったNが、その後、統一協会の組織の責任者になっているのである。
 即ち、信徒代表とは非公然組織である統一協会のポストの一つにすぎず、統一協会とは別に「信徒会」なる組織が存在するわけではない。信徒代表の役割は、クレームや返金要求や和解などの局面で、「信徒代表」として公然化し、統一協会の存在を隠すことなのである。

6 信徒代表Nはベイグリーンの代表取締役
(1) 中央神奈川教区のベイグリーン
 「友好団体」としてベイグリーンが紹介されているが(運動史 90頁)、ベイグリーンは高麗人参、浄水器、自然化粧品、サウナ等を販売している。整体ルームなどがあり、統一協会が健康にかかわるとする商品の販売を切り口に新規犠牲者を探索したり、信者に高麗人参を販売したりするための公然部分であり(運動史末尾の広告も参照)、有限会社なのである(甲第91号証)。そして、統一協会内で信徒代表=横浜教域長たるポストにいたNは有限会社ベイグリーンの代表取締役なのである。すなわち信徒代表Sとは、有限会社ベイグリーンという、経済的収奪組織である統一協会の、物品販売のための公然組織の代表取締役を平成5年から続けている男なのである。

(2) 伝道の契機である物品販売のための公然組織・北海道
 株式会社北翔クレインを除いて、北海道全域に25の統一協会の営利会社がある(甲第80、81号証)。北海道全域で教域数は26であるから(甲B第471号証)、数としてはおおむね、対応している。この営利会社は統一協会が伝道の契機として、街頭あるいは訪問して印鑑や風水グッズを販売するためのもので、物品販売をしながら伝道対象者を選別していくための公然組織である(甲第92〜94号証)。甲第81号証の冒頭に記載されているフレッシュラフは、有限会社フレッシュライフのことである(甲B第289号証、甲第95号証)。これは統一協会岩見沢地区の会社である(甲A第42号証の1の第7項、出資金が統一協会から出されていることが解明されている。)。

7 新規の被収奪者獲得活動
 内部の収奪だけでは先細りとなる。新しい犠牲者を見出さなければならない。そのための組織が篤志家伝道機動隊である(運動史 88頁)。
 その外に横浜南教域(元青年支部)が「伝道」活動(新規被収奪者獲得活動)を行っている。この部隊は青年を主たる「伝道」の対象としているので、次の準備書面で詳細について主張する。

(1) 横浜教域篤伝隊の活動
 篤伝隊の役割は街頭で手相を見て喫茶店などで姓名判断をして、横浜フォーラム(友好団体NCYFと紹介されている。)に連れて行って「コース決定」(ビデオ受講の決定)をさせるということである。篤伝隊は1998年当時、毎月5000万円を稼ぐことを目標にしていて、毎月3000万円程度の実績を出していた。コース決定から献金までは意外と早いと言う。コース決定まで因縁で押しまくっているので、その勢いで押していって金を出させると言うやり方であったという。訴外Fの体験によると以下のとおりである。

 閉講式が終わって支部に戻ると、面接、歓送会、とトントン拍子に進み、あっと言う間に婦人部の篤志家伝道機動隊(篤伝隊)になっていた。それが、97年の2月である。最初の三日間は、ビデオセンターでトークビデオを見て勉強した。トークビデオの内容は、街頭から即動してビデオセンターもしくは近くの喫茶店で行うもので、姓名判断をしながら最初は相手の良い所をほめ、信頼されるようにしながら今度は相手の本当の悩みを聞き出し、「それは先祖の因縁のせいなんです」と切り出す。仏教的な因果応報という言葉を用いて、「今起こっている結果は先祖が原因となっているので、あなたの先祖をみたらいい。家系図を調べてみたらいいですね」と誘うのである。その先は、トーカーに任せるので覚える必要はない。
 篤伝隊の使命は、資産をもっている婦人を伝道すること。よく、「お金をもっている人が篤志家になるのではない、天の前に一心に歩んで行ける人が篤志家なんだ」と言われてきたが、その反面「あなた達は、摂理を進めて行ける人(つまり多額の献金ができる人、もしくは伝道力がある人)を伝道できるように高い意識でいなさい。」と言われていた。先頭に立つ隊長は「外的目標は100億ゲスト!!」と途方もない目標を立てていたが、なかなか簡単にはそんな大きなゲストに出会えてはいないようだった。しかし、中心者の気持ちとしては本気で100億の資産を持つゲストが3人ぐらいつかんで欲しいようだった。
 ビデオでの勉強が終わり、いざ実践。緊張しながらの毎日で時間もあっと言う間に過ぎて行った。基本的に私の場合、即動した後の姓名判断とクロージングが出来なかったので、声を掛けた人を止めて信頼を得る所までが仕事だった。歩いている婦人を止めては、他の姉妹が入ってトークをしてもらっていたが、ある時入ってくれる姉妹が一人もいなかったので、私が自分でトークをしなければいけなくなったときがあった。その時のことは、とにかく一生懸命で細かいところは覚えていないが、姓名判断をした後、クロージングもできずに終わってしまったと思う。帰って来た私に、「伝道師は、売らない師になってはいけない」と言われたように思う。
 伝道師は「占い師」=「売らない師」ではない、だから次のステップである家系図のチケットを「売らなければいけない」ということだ。手相や、姓名判断は相手の心情を開かせ、悩みを打ち明けさせ、コース決定へ導くための道具でしかない。簡単に言えば、「手相や姓名判断を見る振りをしていればいい、当たっていようが間違っていようが関係ない。」ということだ。

以上


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