準備書面(15)

平成16年(ワ)第1440号
損害賠償請求事件
原  告  ○○○○ 外51名
被  告  世界基督教統一神霊協会

準 備 書 面(15)

平成19年12月4日

札幌地方裁判所
     民事3部合議係 御中

原告ら訴訟代理人             
弁 護 士   郷   路   征   記
弁 護 士   内   田   信   也

目         次

1 はじめに
2 伝道の端緒として位置づけられている
3 ゲストに対する販売の目的について
4 他者を経済的に収奪することも正しいと信じさせる人格の形成
 (1)青年の場合
   ア 因縁を自覚させ、家族の中の責任者と自覚させる
   イ 氏族のメシアである。先祖の解放にも責任がある。
   ウ 我々は先祖の罪にも責任がある。遺伝罪。因縁ともいう
   エ 人生の三大目的の一つであると教えられる万物主管の内容
   オ 万物復帰の意義と価値
   カ 公式7年路程
   キ 実践のための教育
   ク 実践の開始
   ケ 実践例
 (2) 壮婦の場合
   ア 因縁を自覚させ、家族の中の責任者と自覚させる
   イ 自分の罪を自覚させ、贖罪の道として
               自己犠牲の道へ誘導する
   ウ 統一運動の展開→初めて経済活動が講義される
   エ 堕落によって失った物→万物・人間・心情
   オ 万物復帰の意義と価値・霊界がアップする
   カ 主人復帰(夫を統一協会に入れること)
   キ 親族への伝道
   ク 日本の使命→エバ国家
   ケ 実践の強制
5 手段の違法性
 (1) 徹底した教育
   ア 担当者教育→定着経済の具体的売り方
   イ 宝石展の宗教的、摂理的意味の教え込み
   ウ 絵画販売のための教育
   エ 高麗人参販売のための教育
   オ 物販
 (2)トークの内容
   ア 毛皮のトーク
   イ 絵画展のトーク
   ウ 高麗人参のトーク
 (3)上記各トークの社会心理学的分析
 (4)その他の手段
   ア ノミネート表
   イ 五大トーク
   ウ 蕩減条件
 (5)自由な意思形成の阻害

1 はじめに
 本件の争点のうち、各地の青春を返せ訴訟によっても未だ明確に解決されていないものの一つが、ゲストに対する統一協会の販売行為の違法性の問題である。
 この問題について、原告らは、いままで事実に即した主張の展開に努めてきた。原告らの主張すべき主張としてはすでに尽きていると考えている。
 この準備書面は、上記の問題について、原告らが違法性の根拠として主張する論点とそれを立証する書証とその書証の内容を明らかにしたものである。すなわち、ゲストに対する販売行為の違法性について、原告らの立証がどこまで到達しているかを明確にしようと意図したものである。
 作業をしてみての原告らの結論は、上記問題についての総論的立証は、すでに提出されている書証によって充分ではないかということである。

2 伝道の端緒として位置づけられている
 甲B第359号証43頁下から2段目
 物販→ハガキ→訪問→ブルー展→アフター→エーデルワイス(中級コース)と記載されている。ブルー展(定着経済の展示会)で物を買わせて、その後の接触、働きかけによって、壮婦用ビデオセンターであるエーデルワイスに誘って壮婦の教育課程である「中級コース」を受講させるという意味である。そのような講義が行われているのである。

 甲B第379号証 19頁
 物販(お茶、車、男女美、ミネクール、メッコール、米、配置薬)→ブルー展(定着経済・CB、呉服、布団、絵画)→エーデルワイス(ビデオセンター)

 甲B第379号証
 CB展においてすべての人が万物復帰を条件として、神様の前にかえっていくことができますように・・・
 神様の前にかえっていくというのは、統一協会員になるということである。

 甲B第394号証 Hノート 74頁
 1枚の絵でその人の人生を変える絵画展に、作家の人生、思想、愛情が入っているので出会わせてあげる−そのことを通じて伝道へ

 甲B第395号証 Hノート 1頁
 蕩減条件 期間:2月13日〜2月19日 7日間 条件:40杯水行
 サタン分別と私の心情の悔い改め
 2月16日〜2月19日のCB展勝利と動員の決まったGさんとYさんが万物条件を立てられますように、夫がお父様を受け入れますように。
 万物条件を建てられるとは、ものを買うこと、お父様を受け入れるとは統一原理の中核である、文鮮明をメシアであると信ずることである。

 甲B第396号証 5頁
 6月の方針中に、伝道倍加 80軒が目標とされ、CBの帰りにチケットを!!(CBを通してつながるように)と教えられている。このチケットとは新規隊が販売している鑑定(コース決定=ビデオ受講を決定させること)のためのチケットであろう。

 甲B第397号証 28頁
 10月の方針発表中に、呉服展を通して伝道をとのスローガンが述べられている。

 甲B第396号証 Hノート 17頁
 7月方針 Yコマンダー
 7月17日森山先生の講演会 ほのぼの講座の拡大 伝道 N目標 70名
 G目標6000万、マナ中心で進めたい。サウナ、メッコール、男女美、リピート商品だから伝道につながる。

  甲A第22号証の12
 万物復帰は伝道である。万物を通して、人の心を復帰すると記載されている。

 甲第32号証 古印供養から家系図講演会へ
 印鑑トーク→印鑑購入→印鑑・風水感謝会→家系図講演会→コース決定・購入しない人も訪問→古印供養→家系図講演会→コース決定
 有限会社セラア・サッポロという統一協会の販社(旧商号有限会社札幌西エンタープライズ)で活動している訴外Mが所持していた文書。2006年のものである。印鑑や風水に関連するグッズの販売を通して統一協会員にするというルートで活動していることがわかる。

 甲第33号証 冒頭に2006と記載のある表
 有限会社セラア・サッポロの2006年の1〜8月の実績表。数字は人数をあらわしていると推測される。印鑑・風水展→感謝会動員→家系図鑑定→C決定(コース決定=ビデオセンター受講決定)という流れで活動していることが判る。氏名欄に記載されているのはコース決定した人の名前。その後ろの括弧内は担当した統一協会員である。8月の備考欄にK(M)との記載がある。Kは6月15日に開催されたI展(印鑑展)の3ラウンド目に動員された新規客である(甲第34号証)が、この時印鑑は売れなかった。しかし、その後の工作(甲第32号証参照)でコース決定させたのだと推測される。8月の備考欄に記載されているNは7月29日に21万8000円の印鑑を購入した新規客である(甲第35号証)と推測される。8月にはコース決定にまで持ち込まれているのである。

 甲第36号証 伝道勝利のための方程式
 印鑑・風水展に18名動員すると14名に購入させることができて500万円の売上げがあること、そのうち7名をコース決定させれると記載している。
 ものすごい高率である。壮婦の場合コース決定させた者の何割が統一協会員になるのか不明だが、先祖の因縁のトークが効果を発揮すると考えられるので、青年の場合よりも高いのではないかと推測される。

 甲第37号証 2006年1月〜12月年度計画予定表
 セラア・サッポロの年間予定表。I展とは印鑑風水展、IF感謝会とは印鑑・風水感謝会、DJメイクフェアとは男女美化粧品の販売会、生き生きフェアとは健康展と推測される。食養生とは一和高麗人参茶の販売会である。毎月、印鑑・風水展や健康展が開催されている。そこに、統一協会員は新規客を動員し、売りつけて、ビデオセンター受講の端緒としているのである。

 甲第38号証
 有限会社セラア・サッポロについて

 甲第39号証 8月印鑑風水結果と題する文書
 統一協会の北海道の一つの教区(2000年当時は、北海道は三つの教区に分けられていた。甲B第470〜471号証)の内のセラア・サッポロと同種の販社(統一協会は、北海道の一つの教区内に24もの商品販売会社を擁している。)の、2006年8月の印鑑風水展だけの売上げ実績表。なんと2545万円の売上げである。個人別売上のチケット販売の部の8位に訴外Mが記載されている。

3 ゲストに対する販売の目的について
 平成18年6月21日付原告ら準備書面(7)の7頁から9頁。そこに引用されている証拠。

4 他者を経済的に収奪することも正しいと信じさせる人格の形成
(1) 青年の場合
ア 因縁を自覚させ、家族の中の責任者と自覚させる
 平成17年7月14日付原告ら準備書面(3)の3の(3)のイの(ア)・12頁の内容

 甲B第83号証
イ 氏族のメシアである。先祖の解放にも責任がある。
 同準備書面(3)の3の(3)のイの(イ)・12〜13頁の内容
 甲B第84号証 3頁
 復活論の講義の目的として、使命感を訴える(先祖を救うためには神とメシアに繋がり善行が必要と記載あり。)。再臨復活を納得してもらう。(協助現象)と記載あり。

 甲B第104号証 26頁
 霊人達の復活方法として、協助現象(再臨復活→自分たちが地上の肉身生活で完成できなかったその使命部分を、肉身生活をしている地上人に協助することによって、地上人の肉身を通して成し遂げること。)があると教えられている。

 甲B第116号証 2頁
 肉身生活の意義→霊人体の成長と完成。そのことによって死後「天国」へ行くことができる。逆に言えば、先祖は知らなかったので「天国」へ行けていない。

 甲B第105号証 1頁
 午後の講義が復活論(霊人体の再臨協助)である。「私の存在が私だけのものではないことをおさえ」させるのが進行の役割となっている。

ウ 我々は先祖の罪にも責任がある。遺伝罪。因縁ともいう
 同準備書面(3)の3の(3)のイの(ウ)・13〜14頁の内容
 甲B第116号証 19〜20頁
 自犯罪(葉)→連帯罪(枝)→遺伝罪(幹)→原罪(根)。遺伝罪・因縁の克服方法は先祖供養。信仰をもつこと。原罪はメシアによらなければ、克服できないと教える。

 甲B第104号証 19頁
 因縁とは本当の人生を生きることができなかった「恨み」だという。そうすると、統一協会員にならなかったすべての先祖は恨みを抱いており、それが因縁となって後孫に悪影響をもたらすことになる。

 甲B第116号証 23頁
 悪霊人達の再臨復活のためには、地上人は、病気・不幸・事故など悪霊人の行う災厄を甘受(感謝・悔い改め)しなければならない。水子霊には、その人によって救われようとしていた霊人達のうらみもこめられている(だから水子の霊の悪影響力=因縁は強いということ。)。

エ 人生の三大目的の一つであると教えられる万物主管の内容
 同準備書面(3)の3の(3)のイの(エ)・14〜15頁の内容
 甲B第144号証 6〜7頁
 万物を通して神の前に帰る。万物を供え物として神の前に出る。物に執着→絶対神に出会えない。最も大切な物を神に捧げる→神と出会う出発点(これが、物売りを伝道の端緒として信ずる教理的な根拠となっている。)。自分の能力もお金もすべて神の物。献金・献品は世界的摂理、伝道、教会維持等のため心から感謝して捧げる。その結果サタンが分立され、万物に主管される人から神に主管される人に変わる。

 甲B第229号証 11〜12頁
 上記と同じ

オ 万物復帰の意義と価値
 甲B第144号証 12〜13頁・16〜17頁
 個人的救いの観点→堕落人間が「復帰」していく過程(無原理圏から神の間接主管圏に入るため・16〜17頁)で供え物(財=お金を捧げること)が必須。摂理的観点→日本はエバ国家。経済と人材でアダム国家に尽くす義務。日本人はみ言を受けていなくても神とアダムに命がけで従うことが必要。→日本国民を経済的に収奪するための理論的根拠となっている。

 甲B第229号証 24〜25頁
 供え物の目的は、@万物復帰(すべての物を神の前に帰す)の為の蕩減条件、A子女(人間)復帰の為の象徴的な蕩減条件

カ 公式7年路程
 甲B第155号証 1頁
 メシアを迎える(祝福をうけること・原罪を脱ぐために必須)ためには合計7年間の、万物復帰(経済)と人材の復帰(伝道)が必要とされている。

 甲B第155号証 12〜13頁
 7年路程についての詳しい教え。万物復帰は困難。なぜならサタンが(万物を)主管しているから。3年間神と国家のために奉仕精神・犠牲精神が必要。伝道、人材復帰の方が(万物復帰よりも)困難。「死ぬ気でやれ!」。愛の完成のため祝福が必要。サタンの血統から神の血統への転換。祝福をうけても兄、妹としての分別生活(聖別期間という。合同結婚式に参加しても夫婦生活が始まるわけではない。統一協会が信者を使役する期間を長くするためである。)。み旨を実践して、夫婦となる。

 甲B第297号証 23〜25頁・28〜32頁
 万物復帰には霊界の協助が必要。万物を神の前に返してから、その万物を通じて初めて堕落人間を復帰することができるのです。万物を復帰する道は簡単ではありません。多くの汗と涙を流して初めて復帰できるのです。

キ 実践のための教育
 同準備書面(3)の3の(3)のウの(ア)、(イ)・16〜18頁の内容
 甲B第155号証 8〜9頁
 展示会思想・展示会の目的のひとつは、ゲスト、背後の霊界の救いのため。万物はメシアに繋がるため。5大トークを教えられる。サタンからゲストを守るために言わなければならないと動機づけられる。商品名の聖書シリーズを「授かる」意義が教えられている。

 甲B第155号証 28〜29頁
 摂理の観点から、展示会には販売目標があることが教えられる。ゲスト、霊界の救いのためにも行うものである。その道筋は、万物→み言(統一原理を学ぶようになること)→メシア(文鮮明をメシアと信ずるようになること)の順であることが教えられている。

 甲B第229号証 18〜19頁
 現代を生き抜くトータル健康法→遠赤外線サウナと高麗人参を売りつけるための講義である。

ク 実践の開始
 同準備書面(3)の3の(3)のエの(ア)・18頁の内容
 甲B第156号証 1〜10頁
 実践トレーニングで伝道の対象として120名のリストアップをさせられる。その具体例である。それまでの教育から当然そうなるのだが、家族が対象者の冒頭に記載されている。

ケ 実践例
 同準備書面(3)の3の(3)のエの(イ)・19〜20頁の内容
  甲B第333号証 2枚目
 CBの実践を開始した霊の子に霊の親が自分の体験例を伝えている内容

(2)壮婦の場合
ア 因縁を自覚させ、家族の中の責任者と自覚させる
 甲B第373号証 1〜11頁
 為に生きる愛で形成された真の家庭(女性が勝利した家庭・嫁・妻・母として勝利すること→そのため夫を愛するより前にその家の先祖、舅姑を愛せ・自分の幸せよりも夫、子供の幸せを優先せよと教える。そんなことできている人はほとんどいないから、すべての家庭は「真の家庭」ではないことになる。)が、自己中心の愛によって壊れると悪霊・因縁になる(だから、ほとんどすべての先祖は悪霊ということになる。)。因縁克服の道は、在家出家として自己犠牲(財については、神仏のため・先祖のため・人のため・自分のための順番で金を使え)の生活を送ること。

 甲B第387号証 1〜19頁
 霊界のうちの地獄界について、「自己中心で生きた人、殺人、盗み、自殺、色情を犯した人は特に低い霊界に行く=悪霊」と説明。悪霊は、「後孫に自分の悪を知らせるために(自分のようになってほしくないので)来る。後孫が同じ苦難に出会ったとき、同じあやまちをせず乗り越えると(甘受すること。)、悪霊は善霊に引き上げられ、その善霊になった先祖は後孫を守り続ける(霊の解放)。」と教える。日本人に多い色情因縁は、肺の病気、ガン、脳溢血などの原因であると教える。色情の因縁を強調するのは、実例がたくさんあることと、統一協会の説く「原罪」の自覚につなげることができるからである。それは文鮮明をメシアとして信じさせるための手段である。

 甲B第388号証 19頁
 恨み、未練を残したことが、先祖の悪因縁の本質。生きる価値を見いだせなかった人(人生を悲観する。)

 甲B第388号証 22頁
 先祖の霊界に行っての恨み、未練はこの世の時の50〜80倍に膨らむ。何番目の子供に願いを託すのか先祖が決めている(生まれる前から使命を与えられている。)

イ 自分の罪を自覚させ、贖罪の道として自己犠牲の道へ誘導する
 甲B第373号証 12〜20頁
 序論・自己中心の生き方→真っ黒い霊人体→地獄
 B1・嫁、妻、母、姑になりきれない。
 B2・インプリント期間・母の愛の重要性。
 B3・堕落論。
 B4・子宮→女性が持つ最も聖なるもの。女性が子宮をきれいにしている(夫以外の男性と性行為がないことを意味している。)どうかで、子供の将来が決定する。感応遺伝・霊人体への記憶が子供に遺伝する。
 B5・メシアによる救いのため蕩減条件、七道の決意、そのうちの財→執着を捨て、お金を神仏、先祖のために使う。
 映画氷点→原罪を意識させる。

 甲C第177〜179号証
 同上

 甲B第376号証 47頁
 文鮮明が訪韓した管区長に対して、「人間の一番大切なのは、生殖器である。」と述べている。

 甲B第387号証 20〜37頁
 女性は、まず嫁となりきり、その後妻となり、母となり、姑となる。この秩序が乱れることにより家庭崩壊が起きる。女性の体で最も大切な物=子宮、女性の貞操=子宮を守ること、人間の堕落=子宮が汚された(夫以外の他の男性により汚されたという意味である。)、サラブレット(一度雑種と交わると純血は断たれる)、女性の思いが子供に遺伝する。

 甲B第388号証 21頁
 因縁=遺伝罪と罪=原罪の関係についての講義。罪を知らずして本当の因縁は判らない。

ウ 統一運動の展開→初めて経済活動が講義される
 甲B第375号証 41頁
 統一運動の展開→経済分野→セイロ 自動車工業、トンギル社 工作機械、ワコム コンピューター会社、ハッピーフーズ 水産業、クリスチャンベルナール 宝石、クリスチーナバン 毛皮、一和 健康食品・高麗人参、男女美化粧品、ミネクール、アセデール。なにか縁がある→かかわりあいをもってたことがメシアのところに行く救いの条件

 甲B第391号証 23頁
 上記以外に、パンダ自動車、キモノ、フトンの記載がある。

エ 堕落によって失った物→万物・人間・心情
 甲B第376号証 17〜18頁
 堕落によって失った物→万物→万物復帰(販売)
 人間→人間復帰(伝道)
 万物復帰は人材復帰のための蕩減条件である。
 エバ国家としての使命→万物主管(経済 人材復帰)、実践の意義→自分を神の前に復帰する。
 続いてお茶の効用についての講義

オ 万物復帰の意義と価値・霊界がアップする
 甲B第376号証 11頁
 サタンに奪われた万物を神に戻す。万物は救いの条件

 甲B第393号証 14頁
 展示会(経済)
 原理(の観点)→万物(復帰)は人間復帰の条件(伝道の端緒ということになる。)
 摂理(の観点)→万物は神のもの 父母様により神側に

 甲B第393号証 18頁
 Sコマンダー説教の内容。万物は神が一時的に与えてくれたものであるから神の前に返していかなければならない。神が最も愛する人が所有するようになる。アメリカは天使長の国であり、エバ国である日本はアメリカから万物を取り戻して、アダム国である韓国へ返す。

 甲B第376号証 38頁
 万物復帰は、被造世界を再創造する(サタンに奪われた人間以外のすべてのものを神の下に取り戻すこと)ための蕩減条件。人間を再創造する(人を統一協会員にすること)ための基台。アベル(この場合、統一協会員)、カイン(この場合、ゲスト)が一体化して来る(万物をささげに来るという意味、具体的には統一協会の商材をゲストが買うこと。)と、神様が取らないわけにはいかない(神様は、サタンの表示体であるカイン=ゲストから直接捧げ物を受けることはできないと教えられている。)。主体の意識次第で、買った人も買わなかった人も、救われ、霊的にアップしていく。そして、赤血球の寿命が120日だからといって高麗人参茶を1年分買わせる。1本8万円で12ヶ月だから92万円にもなる。

 甲B第392号証 21〜22頁
 万物復帰(復帰とは、所有権を変えること)は、被造世界を復帰するための蕩減条件、人間復帰の基盤。カインたる客の迫害、否定をアベルたる私(統一協会員)は甘受して、万物復帰をさせることによって、客(カイン)を神に繋ぐことができる。

カ 主人復帰(夫を統一協会に入れること)
 甲B第391号証 2頁
 主人復帰→私次第です。女性の使命→生命がけで神に信仰をたてる。生命がけで夫を生みかえる。

 甲B第393号証 28〜31頁
 主体(夫)復帰講座→夫の背後にいるサタンを屈服させなければならない。私(統一協会員の妻)が蕩減条件をたてて信仰生活をしていく。神のみ旨を中心とした条件をたてなければならない。

キ 親族への伝道
 甲B第394号証 39頁
 O地域長の説教→心情因縁の近い親戚を伝道する時。一番伝えやすい人に伝えていい時代になった(霊感商法に対する社会的批判によって、社会一般に対する販売が困難になったのである。従って、収奪のターゲットの重点が統一協会員の親族などにシフトせざるを得なかったのだと推測される。)。心情を投入して祈っていけば、相手からよって来る。

ク 日本の使命→エバ国家
 甲B第376号証 4頁
 日本→母→@生む→伝道→世界 A育てる→経済→世界

 甲B第393号証 12頁
 日本の使命→経済援助である。世界に貢献し奉仕する。

 甲B第394号証 3頁
 1990年12月2日から1991年6月までに、1団(例えば、札幌北地区を指すと思われる。)が1億の勝利をとゲキをとばしている。日本全国で4000個団と推定されるので4000億の目標である。前の頁には、2兆、3兆というお金であってもすぐなくなると記載されている。

 甲A第22号証の8 
 3人位、1人で1億を決意する(売り上げ目標として決意することをいう。)キチガイが必要。摂理観からみたら当然だという。

ケ 実践の強制
 甲B第394号証 57頁
 み言を聞いただけでは何にもならない。信じて実践しなければ実体はない。

5 手段の違法性
(1) 徹底した教育
 同準備書面(3)の4の(1)・20〜22頁の内容
ア 担当者教育→定着経済の具体的売り方
 甲B第376号証 20〜21頁
 万物復帰の目的は@全体目的→神の摂理、A個体目的→神の子としての命の復帰。(会場の図面が書かれている。)。ディレクター(タワー長のこと)ルームは会場から隠されている。ディレクターは神の代身、私(担当者=ゲストを誘った人たる統一協会員)はヨハネの立場。動員方法、売り方について、五大トーク、ノミネート、アベルと一体化しての動員、会場到着時ディレクタールームへ行き、ゲストの様子を報告、コンサルタント(販売のトークをする統一協会員)と一緒に会場へ→ディレクターへ40分後中間報告(ゲストの立場に立つふりをしている担当者がゲストの本音を聞きだし、その様子をタワー長に報告するのである。ディレクターの指示に従う。→高額の物を売りつけるためにハッパをかけられる。)

イ 宝石展の宗教的、摂理的意味の教え込み
 甲B第393号証 8〜9頁
 宝石は本然のエバのために神様が長い年月をかけて作られたもの。ゲストの目の仕草、足もとに注目して、そのもの(展示してある商品)を意識しているか、いまいちか、判別する(意識しているものを選択させ、あるいは持参して、販売の対象とする。選択したこと=コミットメントを深めさせることなのである。数個を選択させるが、どれを買わせるかを決めるのはタワー長である。)。クロージングでは救いの心情で強気に話すと教育している。

 甲B第394号証 44頁
 CB展に臨む統一協会員の意識として、お父さまと一緒に生きているという誇りと、メシアの作った商品であることの自信と、真の愛=伝道の意識を持っている自分に自信を持てと教えている。

 甲B第395号証 29〜45頁
 CB展のコンサルタント(専門家であると偽装する統一協会員=霊感商法の霊能師の役割)の教育講座の内容。毛皮が売れればセットで外のものが売れる。高額販売に挑戦してほしいと言うのが冒頭の言葉。私達は物売りではない。信仰販売していかないとキャンセルになると教える。タワー長は神の代身・コンサルタントはメシアの代身、担当者は洗礼ヨハネの立場。そして、こまかい商品知識の講義。好きなもの選ばせる。クレジットカードの利用枠の説明。ゲストのタイプ別対処方法。コンサルタントは担当者にお茶の時にゲストの本音を聞くよう依頼する(担当者は、ゲストの立場に立つふりをしながら本音を聞き出すのがひとつの役目。それをタワー長に伝える。)。

ウ 絵画販売のための教育
 甲B第394号証 52〜55頁
 絵画の歴史について、基礎的な知識の教え込み

 甲B第394号証 59〜62頁
 絵画展を開催する宗教的意義の講義。主催は神様、目的は救いと真の文化芸術の啓蒙と経済。VIP(人脈、お金ある人)の復帰

エ 高麗人参販売のための教育
 甲B第376号証 33頁
 高麗人参・サウナ販売のための講義

 甲B第392号証 23〜32頁
 お茶売り、高麗人参茶売りの講義

 甲B第393号証 19〜22頁
 高麗人参茶を販売するための講義

オ 物販
  甲B第376号証 44頁
 サウナ、人参、ミネクール、お茶、フレッシュワン販売のための講義

 甲B第162号証
 呉服の知識

 甲B第161号証・甲第31号証
 男女美化粧品の知識

(2)トークの内容
ア 毛皮のトーク
 CB展では、宝石と毛皮が売られている。
 封書に入れられた勧誘のための展示会ご案内状がある(甲18の1〜4)。
 勧誘のためのチラシとして、その時々に女性モデルと宝石や毛皮を中心に据えたカラー刷りのものがつくられている(甲19〜21)。毛皮や宝石の、高級でゴージャスなイメージを伝えるもので、いずれにも宗教色は毛ほどもない。
 宝石についての基礎的な知識を身につけさせるために一般雑誌のコピーが統一協会員に配られている(甲22〜25・輝く宝石の世界へのインビテーション、イヤリングの着け方、指の形に似合うリング探し方、髪型、手の形、耳の形に似合う装身具の形など)。
 ダイヤモンドについて、より専門的な知識を身につけさせるため統一協会が作成したと思われる文書などで統一協会員を勉強させる(甲26)。
 ミンク&ファー販売マニュアルという初心者用のマニュアルがある(甲B215)。「クリスチーナ・バン」がいかに有名か、いかにそこの毛皮はいいもののかということが、様々な「根拠」を具体的に示して力説されている。すなわち、ニューヨークの五番街にショールームを持つ高級毛皮店でファーモードのリーダー的存在であり、素材は洗練されたハイクオリティーなアメリカンミンク、デザインは流行やファッション性だけを追うものではなく、買ってから何年経ってもそのデザインが発表された時と同じに美しく、タイムリーであり、機能が素晴らしくて縫製も確かで、なめしも熟練した技術が要求されるレットアウト加工が施されている為に、着る人に意識の高揚と精神の昇華をもたらし満足感を与えてくれるなどと(5枚目)、クリスチーナ・バンの商品の優越性が述べられている。
 ゲストの体型に合わせながらどの様なものを勧めたらいいのかという事が教えられ、展示会でのトークが教えられている。前記の内容と同様である(9〜10枚目)。
 動員トークと題する文書も(甲B213)も同じ内容である。販売テクニックと記載されている文書(甲B210)にはブランドの紹介がされている。宝石のクリスチャン・ベルナールはフランス、パリの有名宝石デザイナーの名前だという。最新作「聖書シリーズ」はクリスチャン・ベルナールの永遠のテーマである愛をモチーフに、宝石本来の意味合いを象徴的に表現したデザインが関心を集めている等と掲載紙の名前入りで紹介されている。聖書シリーズのパンフレット(甲27)には「神ゆえに創りえた、至上の美の極点−宝石。ひとつひとつが、永遠の神の愛を伝えるためにいま、ここによみがえり光を貯えて、またたく。」と商品の特性が訴えられている。

イ 絵画展のトーク
 絵画展を案内する葉書がある(甲28)。絵の商品としての特性を説明する絵の良さと題するパンフレットがある(甲29)。それによれば、絵画には、インテリア性、財産性(絵は子孫に与える血の通った財産、その人の生きた証しとして無限の香りを放つ)、精神性、情操教育(思いやりのある感受性の豊かな子になる、子供の右脳を発達させる)、芸術性(消耗品ではない半永久的な価値がある)という特性があると説明する。キャンバスの大きさや絵の種類、美術用語、色のイメージと性格などについても教えられる。
 絵画のアドバイザーテスト・入門編(甲30)がある。その中に、絵の効用を問う問題がある(上記の内容が答えである)。展示会の流れの理解を問う問題もある。順番は担当者との打合せ→ゲストに挨拶→会場を案内→コーヒーを勧め席についてもらう→コーヒー準備中にディレクターに報告(ゲストの様子と、絵の好み)→コーヒーを接待したら席に着き心情交流をする→ゲストの好きな絵をもってくる(1〜2点)→「近くで見てもすてきですよ」と言う。持ってきた絵を賛美し、ゲストの内面と結びつけ、ゲストを賛美する→絵の効用を説明する(これは上記で学ばされた事である)→作家の資料を見せて説明する(これも勉強させられる)→テストクロージング(買いそうかどうか仕掛けてみる)その後ディレクターに報告→クロージングし、結果を報告→契約書を書いていただき心情交流をするということである。この様なテスト(甲B424)で講義の理解度をチェックする。

 甲B第424号証
 ディレクターとはタワー長のこと、アドバイザーは宝石展ではコンサルタントと称している。専門家であると偽装する統一協会員。霊感商法の霊能師役のこと。メシアの代身=担当者は霊感商法のヨハネ役である。アドバイザーは担当者から友人あるいは知り合いとして紹介されている(親近感を持たせるため。)。ゲストに会う前にタワー室でアドバイザーは担当者からゲストに関する情報を仕入れる。会ったとき笑顔と賛美、会場案内の目的は心情関係を作る(心を開かせること、好感をもたせる。)ことである。そのためゲストが好きでみている絵に賛意を表す。絵の説明は3点だけ。案内する経路も決まっている(図が記載されている。)。ゲスト、担当者、アドバイザーの立ち位置も決められている(図が記載されている。)。コーヒーを入れてもらっている間にタワー長に報告。コーヒーを持っていって心情交流。好きな絵を持ってこさせる。すかさず、持ってきた絵を賛美、絵を通してゲストの感性を賛美(コミットメントを深めさせるのである。)、絵の効用を話す。そして作家の紹介をして、テストクロージング(買うことを初めて意識させる。)。そしてタワー長の元へ。自分では買わせる絵を決めることはできない。タワー長の選んだ絵でクロージング。売りつけるのである。ゲストの買わない理由を潰していく。応酬話法という(甲B第427号証)。ゲストが絵を選べなかったら、明るい風景か花の絵で目標に近い絵が選ばれる。目標とは売上げ目標のことである。

ウ 高麗人参のトーク
 同準備書面(3)のウ・29〜30頁
 甲B第396号証 51頁
 療術(指圧)もゲストの情を開かせてマナを売るための手段である。新規客→手紙や電話で心情交流し→訪問してビデオや証し(説明・説得)をし→ノイロメーターチェックでニードつけ(健康に不安を持たせ)→マナ展でマナを売るという流れである。療術は新規客とか訪問のところに位置づけられていると思われる。150名をノミネートしてその3割が動員され(48名)、その3割がマナを買う(授かるという。16名)という

 甲B第397号証 1頁
 健康フェアコンサルタントセミナーの講義。体質改善トークの内容。手相を見て賛美して、爪をみて健康不安を指摘し、経絡のツボである合谷(ここは押されたら、ほとんどの人は痛いに決まっている。)を押して、宿便がたまっていると指摘する。肩を揉んで感じないかも知れないけれど凝っていると指摘する。血行が悪いことを自覚させるのである。ペーパーに気になる症状を書き出し、一番気になっているところには赤丸をつけ、本人に視覚的に自覚させる。不安喚起商法なのである。

(3)上記各トークの社会心理学的分析
 平成17年7月13日付原告ら準備書面(3)の26〜27頁

(4)その他の手段
ア ノミネート表
  甲B第380号証 
 原告Tら7名の新規隊の時のCB展のノミネート表である。信頼度、経済力、決定権、関心度が各人を評価している。84名をノミネートして、15名に販売することに成功している。

イ 五大トーク
 甲B第392号証 36頁
 健康フェア(高麗人参茶の大量販売のための催し)の動員の際も、五大トークが行われる。

 甲B第359号証 F受講ノート 45頁
@招待制です(サタンから、外的から守る、1人で来る、夫婦なら良い、サタンをつれてこないために)
A2時間ぐらいかかります。B説明する人がつきますとはっきり言う。C自分が買った証しをする。・・・感動を伝えるため(重要)。D是非1枚持たれて下さい。

ウ 蕩減条件
 甲B第395号証 1頁
 CB展に動員の決まったGさんYさんが万物条件を立てられますように(売れますように、ということである。)、またビデオセンターでみ言を学び始めた夫がお父様を受け入れますように。そのために7日間 40杯水行

(5)自由な意思形成の阻害
 以上の事実などから、法的な主張としては、平成18年6月21日付原告ら準備書面(7)に記載したとおりである。

以上


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