郷路弁護士通信
2013年9月24日 統一協会の2次訴訟判決へのコメントは、嘘に固執する姿を晒すもの

 魚谷次長は札幌青春を返せ第2陣2次訴訟で言い渡された判決(2012年3月29日言渡、以下「2次訴訟判決」という。)についての批判を展開している。裁判官がその批判に答えるわけにはいかないので、原告らの代理人であった私が、私の理解しているところにしたがって、その批判に反論していきたい。
 第1回目(リンク)には、2次訴訟判決に対する統一協会のコメントが掲載されているので、まずそれを批判する。

 第1に、統一協会はコメントの中で「原告らが信者らの任意の組織に於いて、ビデオセンターに始まる教育を受け・・・信者組織の活動に専従(献身)」云々と述べている。即ち、原告らは、全国しあわせサークル連絡協議会(以下、「連絡協議会」という。)或いは信徒会と称する、統一協会とは法人格の異なる信者の任意の組織で布教されて統一協会に入信し、そこで活動をしていたと統一協会は主張しているのである。この主張は、青春を返せ訴訟における、統一協会の最も重要な主張のひとつである。要するに、統一協会は正体を隠した布教も物売りも何もやっていない、やっているのは信者団体であるという嘘が統一協会の主張の根幹なのである。
 私は、第1陣訴訟の時から、徹底的に、統一協会のこの主張を批判し抜いてきた。統一協会申請の証人に対しては、すべて、この論点で反対尋問を行い、決定的と言える成果をあげてきたと思っている。金銭賠償を獲得することを主たる目標にすれば、仮に「信者団体」の行為であるとしても、民法715条の適用によって統一協会の使用者責任が認められているのが判例であるから、あえてこの論点に力を注ぐ必要はない。しかし、私はそのような考え方には立たず、事実を明らかにすることをあくまでも大切にし、統一協会によって青春を奪われた原告らの思いに答えるために、統一協会のこの虚偽の主張を徹底的に争ったのである。
 2次訴訟判決は、「宗教団体である被告の組織とは別個独立に、連絡協議会或いは信徒会という信徒団体が組織されていたとは到底認めることができず、被告が連絡協議会、又は信徒会として主張する組織は被告の一部を構成するもの」に過ぎないと判断した(PDF:2次訴訟判決272頁)。
 その判決に対するコメントで統一協会は相変わらず「連絡協議会がやったのだ、信徒会がやったのだ」という主張をしているのである。では、そう主張する根拠が何かあるのかといえば、統一協会に根拠は何もない。
 統一協会は敗訴した2次訴訟で控訴して、控訴理由書を提出したのだが、79頁にもわたる控訴理由書(総論)で、連絡協議会に関する認定を批判している部分は1頁にも満たない短さである。批判の根拠は、16年も前に言い渡された名古屋青春を返せ訴訟の判決なのである。その4年後に言い渡された札幌の第1陣訴訟判決では、「独立した団体としての連絡協議会の存在自体、極めて疑わしい」と認定された(PDF:1陣判決293頁)。その後も、連絡協議会と称する組織が統一協会の組織の一部であることを立証する証拠は裁判所にたくさん提出され、それらを総合して2次訴訟判決に至ったのであるから、それらを全て無視して、それらの証拠が提出されていない16年も前の名古屋地裁判決を根拠に2次訴訟判決を批判しても何の説得力もないことは明らかである。
 今となっては、経済活動をしているのは「信徒団体だ」という嘘に固執する以外道がなくなっている統一協会は、このコメントで満天下にその無惨な姿を晒していると私には思えるのである。

 第2に、統一協会は2次訴訟判決について、「当初は宗教性を秘匿されていて、受講を受ける中で辞めるに辞めることができなかったなどとの原告らの主張を認定し」、賠償を認容したと主張している。原告らは「受講を受ける中で辞めるに辞めることができなかった」いうと主張はしていないし、2次訴訟判決もそのような認定はしていない。
 2次訴訟判決が原告の請求を認容したのは、すなわち統一協会の布教・教化活動が違法であると認定したのは、

@ 宗教の伝道活動は、神の教えであること(教えの宗教性あるいは神秘性)を明らかにした上で相手方に信仰を得させようとするものでなければならないこと。

A 入信後に特異な宗教的実践が求められる場合、その宗教の伝道活動においては、入信後の宗教的実践内容がどのようなものとなるのかを知らせるものでなければならないこと。

B 信仰を維持させるという宗教の教化活動の場面においても、家族や友人・知人との接触を断ち切り、歪んだ形で情緒を形成させ、信仰を維持させることは許されないこと。

C 金銭拠出の不足を信仰の怠りとし、そのことが救済の否定につながるとの教化活動は、その程度が行き過ぎとみられる場合には、やはり不正なものであること。

 という4つの基準を定めた(PDF:2次訴訟判決 256頁〜258頁)うえで、統一協会の布教・教化活動がその基準に該当するので、違法な行為であると認定したのであって、統一協会の主張のような単純な認定をしているわけではない。従って、統一協会のコメントは誤りである。

 第3に、統一協会は2次訴訟について、『「霊界の恐怖や先祖因縁の恐怖により、畏怖誤信せられた結果として違法に献金等をさせられた」ものとして訴えてきた事案です。』と主張しているのだが、そのような事実は全くない。札幌の青春を返せ訴訟では、霊界の恐怖や先祖因縁の恐怖によって献金をさせられた、物品を購入させられたという主張は一切していない。統一協会の違法な伝道・教化活動によって自由意思を阻害されて信仰を持たされ、その信仰のゆえに献金をした、物品を購入したという主張をしているのである。従って、統一協会のコメントは全くの誤りである。
 以上のとおり、2次訴訟判決を「杜撰」という統一協会の批判は、極めて「杜撰」なものと言う以外ないのである。

 魚谷次長は2次訴訟原告らの大半が物理的な拘束下で脱会を決意した可能性が極めて高いと述べている。「拉致監禁によって作られた『青春を返せ』裁判」という批判は、魚谷次長お得意のものであるが、これについては、2次訴訟判決批判への反論が終わった時点で全面的に批判することにしたい。

以上


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